かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) | 羽田鉄工団地協同組合 |
平成22年 | |
1月 | アルコール依存症について |
2月 | 仕事とストレス |
3月 | 「ムズムズ脚症候群」について |
4月 | 事業主・経営者のストレスとは!? |
5月 | 定期健康診断の 有所見率の改善について |
6月 | ロコモテイブシンドローム |
7月 | 百日咳の流行について |
8月 | 結核について |
9月 | 新しいワクチンについて |
10月 | インフルエンザを予防しよう |
11月 | インフルエンザについて |
12月 | ノロウイルスと感染性下痢症 |
平成22年12月
ノロウイルスと感染性下痢症
いよいよ師走です。今年も色々ありました。特に今年の後半には尖閣列島近海での中国漁船による衝突事件の勃発や北方四島へのロシア大統領の視察など例年になく南北双方の国境に関するニュースが続いて「日本は大丈夫か?」と心配になります。この調子では何時、大砲の弾が飛んでくるか心配で、懐かしい防空壕生活を思い出します。さて、感染症の話ですが、感染症情報によるとノロウイルスによる胃腸感染症の増加が報じられています。昨年は新型インフルエンザの対策で「マスク」「手洗い」「うがい」が励行されたため、その副産物としてノロウイルス感染症が少なかったと言われていますが、今年は流行の多発が予測されています。ノロウイルスによる胃腸感染症は一年を通して発生していますが特にこれからの季節に流行します。ノロウイルスに感染すると吐き気、嘔吐、腹痛、軽い発熱等があります。風邪と似た症状で区別が難しい場合もありますが、症状は2〜3日で治まり軽快、治癒します。しかし、高齢者では重症化する例もあり要注意です。しばしば集団発生を起こしますので学校、職場、高齢者施設等は注意が必要です。ノロウイルスにはワクチンはありませんので感染予防に努めることが重要です。
感染ルート
ノロウイルスはカキ(牡蠣)などの二枚貝に付着していて、「かき鍋」のシーズンの冬場を中心に流行します。カキは沿岸で養殖されたり、沿岸の岩場に棲息していますが、ノロウイルスに汚染された海水によって汚染している場合があります。ノロウイルスは85℃で1分間加熱しないと死滅しませんので、大勢でワイワイとつっつく「かき鍋」も楽しいものですが中心部まで加熱する必要があります。生で食べないことをお勧めします。
感染の予防
感染予防の原則は@ウイルスを付けないAウイルスを増やさないBウイルスを死滅させることです。感染者の便や嘔吐物を処理した際はしっかりと手洗いをしてください。床にこぼれた場合はペーパータオル等でしっかりと拭き取り、床や周囲の壁に飛び散った懸念のある時は次亜塩素酸ナトリウム消毒液(台所用塩素系漂白剤<5%>・ハイター等のこと)を0.1%に希釈して床や壁、ドアノブ、手すり等を清拭しましょう。嘔吐物などの処理に使ったペーパータオル等はビニール袋に密閉して捨てます。放置すると乾燥して空気中に散乱し、ウイルスを吸い込んで感染する原因となります。食品はよく加熱することでウイルスを死滅できます。調理のときは調理道具(まな板、包丁など)の消毒にも留意しましょう。感染者の下着類を洗濯するときは一旦、バケツなどの中で熱湯消毒してから洗濯機に入れるようにしましょう。無防備に家族の物と一緒にすると、洗濯機は85℃まで加熱しませんので、家族の衣服にウイルスが付着して感染を増やすことになります。感染者の入浴ですが、最後に入り、残ったお湯は流してください。シャワーにしてもらったほうがいいかもしれません。
歳の経つのは早いもので今年も残り少なくなりました。古来より「光陰矢のごとし、少年老いやすく…」と言いますが「壮年」はさらに老いやすい。健康に留意して頑張りましょう。来年こそは良い年でありますように祈念いたします。
平成22年11月
インフルエンザについて
猛暑の夏がやっと終わったと思ったら、突然寒くなって驚いていますが皆様方はお元気に働いていることと思います。例年この季節には「季節型」インフルエンザが流行する時期になりますが、昨年は「新型」が5月頃から流行して大騒ぎとなりました。今回はインフルエンザについて昨年の「新型インフルエンザ」流行の分析も含めて述べてみます。まず、今年行われるインフルエンザワクチンについてですが、3種類のインフルエンザウイルスから作られています。過去のデータを分析して2009年に世界的に大流行した「新型」A/H1N1亜型と「季節型」のA香港型(A/H3N2)、B型の3種類のウイルスに対するワクチンをまとめて「混合ワクチン」として用いられることになりました。昨年は新型ワクチンの不足のために「優先接種順位」が決められていましたが今年はワクチンの量も確保されていて、希望者は全員受けられます。ワクチンの役割はインフルエンザウイルスが体内に侵入して増えることを防止する効果、それによって死亡者や重症者をできるだけ減らす効果が期待されています。ワクチンの接種をしていても、職場では「咳エチケット」を守ることや、インフルエンザ流行の情報が出たら人混みを避けて、集会や大勢の会議は控えたほうがいいと思います。
昨年の新型インフルエンザについて
2009年4月12日、メキシコ南部Veracruz町で肺炎の死亡者がインフルエンザの疑いが出て、次いで4月15日米国カルフォルニア州南部で二人の患者からのインフルエンザウイルスがブタ由来の新型と認定されました。わが国では5月9日成田空港で新型インフルエンザの患者が発見されています。5月16日には神戸市、5月17日には大阪府で新型インフルエンザが確認されて兵庫県や大阪府では高校生を中心に流行していたことがわかりました。
今回の新型インフルエンザ患者は従来の季節型インフルエンザ患者よりも若い世代に多く、わが国では5〜14歳に最も多く見られて、中高年には少なかったことが分かっています。わが国でこのインフルエンザに罹った人は2100万人と推計されていて、入院者数は17,646人、死亡者171人と報告されています。例年の季節型のインフルエンザによる死亡者よりも少なかったといわれています。WHOは2009年11月時点で各国の死亡率を発表していますが人口100万人当たりイギリスは2.2でカナダが2.8に対して日本は0.2と一桁違った数字です。日本は健康保険制度が充実していて医療機関にかかりやすいこと、その結果インフルエンザ治療薬による治療が早期から行われたこと、国民の衛生意識が高いことなどが上げられています。風邪(インフルエンザも)引かないように頑張りましょう。
平成22年10月
インフルエンザを予防しよう 〜大切な手洗い〜 大田地域産業保健センター コーディネーター 武澤千尋
昨年は、新型インフルエンザが蔓延し、インフルエンザ対策が注目されました。その影響もあり、インフルエンザを発症した場合でも、できるだけ早く医療機関を受診することで、治療薬の処方も可能であることは、だいぶ普及してきたように思います。
それでは、予防対策はどうでしょうか?インフルエンザを予防するため、どのような準備をしていらっしゃいますか?まず、今年もすでに、インフルエンザワクチンの接種が開始されています。流行前の接種が一番効果的ですから早めに接種するのがよいと思われます。そして、その他の予防法には、日常生活での予防があり、@手洗いの励行 Aうがいの励行 Bマスクの着用 Cバランスの良い食事 D休養・睡眠 などがあります。中でも“手洗い”は、感染予防法の中でも、最も大切で基本的なことと言われています。なぜ、手洗いが大切なのかというと、インフルエンザウイルスは、感想した空気の中では長く生き続けることができるので、感染している人が使用したものを触れた人が手指を介して感染する接触感染を防ぐことができるからです。
あなたはどのような手洗いをしていますか?手洗いは、今までの習慣で、あまり意識せずに行っていることが多いと思われますが、この機会に健康管理に役立つ手洗いを確認していただき、ぜひ、積極的に取り入れて健康で過ごしましょう。
1.自己流の手洗いは、汚れが残りやすい
指先・しわの部分などには、汚れが残りやすいことがわかっている。
2.手洗いのポイント
よく泡立てた石けんと流水を用いて、汚れが残りやすい部分も意識しながら、まんべんなく洗う。
平成22年9月
新しいワクチンについて
9月に入っても猛暑が続いていますが元気に頑張っていますでしょうか。
今回はワクチンのことを書かせてもらいます。日本は「ワクチン後進国」と言われていましたが2007年にインフルエンザ菌b型ワクチン(Hib)が承認されました。
2009年には小児用7価肺炎ワクチンとヒトパピローマウイルスワクチンが相次いで承認され、ワクチン後進国という不名誉を解消しようとしています。数年前、カナダを修学旅行中の高校生が「はしか」を発症して、何年間も「はしか」患者の発生していないカナダで大騒ぎになり、その後国内では大学生に流行して学校閉鎖や大学生に「はしか」ワクチンを勧奨した事件は皆様の記憶に新しいと思います。以前から日本は「はしか」の輸出国と揶揄されていました。ワクチン後進国となった理由として、予防接種による健康被害訴訟の多発、予防医学への理解不足、世界に比べて公費補助の低水準、日本独自の審査基準等が言われています。
1) 乳幼児の細菌性髄膜炎とHibワクチン
脳や脊髄を包んでいる膜を髄膜と言います。この髄膜に細菌やウイルスが感染して起こる病気が髄膜炎です。発熱、吐き気、痙攣などの症状が出ますが早期診断は難しい病気です。発育障害、知能障害、聴力障害、てんかん等の後遺症も残ります。小児の髄膜炎の約50%がインフルエンザ菌によるものであり、これを予防するのがHibワクチンです。生後2ヶ月以後から受けられます。大田区では公費補助をしています。
2) 小児の肺炎球菌ワクチン(プレベナー)
肺炎球菌による髄膜炎や菌血症、肺炎を予防します。肺炎球菌が起こす細菌性髄膜炎や中耳炎も予防します。成人用の肺炎球菌ワクチン(ニューモパックス)は既に数年前から行われています。大田区では今年から年齢によって公費補助がついています。小児の肺炎ワクチンは生後2ヶ月以上から9歳まで接種できます。プレベナーには公費補助はついていません。
3) 子宮頚がん予防ワクチン(サーバリックス)
子宮頚部(子宮の入り口部)に出来る癌は近年20代〜30代に急増しています。日本では年間15,000人の女性が発症しています。子宮頚がんはHPVと言うウイルスの感染が原因で引き起こされるがんです。発がん性HPV16、18型の感染を防ぐワクチンがサーバリックスです。
性交渉の体験前に接種するため小学校高学年での接種が考えられています。予防効果を上げるには3回の接種が必要ですが高額なので大田区では公費補助が検討されています。感染症を予防するワクチンはこの他にもロタウイルスワクチン、13価肺炎球菌結合型ワクチン、不活性化ポリオワクチン等が試験中または申請中です。今後、多くのワクチンが開発されるようです。
平成22年8月
結核について
猛暑が続いて毎日のように熱中症のニュースが報じられます。特に高齢者の方は自宅で亡くなるケースも報告されています。部屋の温度管理や換気には注意を払ってください。
今回は結核の話をさせていただきます。結核はかつて「国民病」として日本人の死因の第一位を占め大変恐れられた病気ですが、国を挙げての結核対策や抗生物質、抗結核剤の開発、生活水準の向上と栄養状態の改善によって結核患者は急速に減少しました。
「結核は克服された過去の病気」と認識されがちですが、順調に減少を続けてきた結核患者が平成9年に僅かですが前年の患者数を上回り、罹患率(人口10万人対)が上昇しました。この事態を重くみた政府は「結核緊急事態宣言」を発令して国民への注意を喚起しました。国民の高齢化が進むなかで、結核を発病する人の約5割は70歳以上の方です。
罹患率では20歳代が12,8(人口10万人対)に対して70歳以上は61,8で約5倍多く罹患します。高齢者は免疫力の低下や糖尿病等の余病を持っていることも結核に感染しやすい原因に挙げられます。結核は初期症状が「かぜ」によく似ているために軽くみられがちです。微熱や咳、たんの多い期間が2週間以上続くようだったら一度医療機関で検査を受けることを薦めます。結核罹患率の地域差では大阪が第一位(33,7)で次いで東京(25,9)です。最下位の長野県は10,5で大阪と3倍近くの差があります。
図は都道府県の罹患率の順位の変化ですが東京が年々上位に向かっています。社内に結核患者が発生しますと他の人に感染して会社としても大変困った事態になりますので定期健診は必ず受けて健康的な生活に努めましょう。
平成22年7月
百日咳の流行について
入梅のうっとうしい季節に入りましたが、お元気にお過ごしでしょうか。
東京都福祉保健局から6月23日、百日咳の流行について発表がありました。これによりますと、今年の20週(5月中旬)から百日咳の患者が増え始めて24週(6月中旬)には集計を取り始めた1999年以降では最も高いレベル(0,23/定点)を記録しました。
都内の一部の保健所管内では警報レベル(1,0/定点)を記録しています。インフルエンザ等でも地域の観測地点で(1,0/定点)を超えると大流行の兆候を示す目安とされています。
百日咳はインフルエンザや風邪と同様に患者の咳やくしゃみで感染します。
激しい咳発作が特徴で、しばしば嘔吐をともなったりする痙攣性の咳が目立ちます。咳は夜間に多く、合併症が無い限り熱は出ません。顔を真っ赤にしてコンコンと連続した咳をして最後にヒューと犬の遠吠え様の音を発して息を吸い込む痙攣性の咳をします。
大人は感染しても命にかかわることは殆どありませんが、乳幼児が感染すると重症化することがあります。乳幼児には三種混合(DPT)ワクチンを受けさせることが大事です。
百日咳の患者に接触してから発病までは約7〜10日かかります。この期間を潜伏期と言いますが潜伏期間を過ぎると風邪症状が約2週間続き(カタル期)徐々に咳が強くなります。痙咳期と言われる連続した咳の症状になります。「咳だけが続きます」とか「咳で夜も眠れません」と訴えて来院しますが、もしかしたら百日咳の可能性もあります。百日咳は元来、小児の病気でしたが今回の流行を都内150箇所の定点観測を行っている医療機関からの報告から分析すると20歳以上の成人患者の増加が目立ちます。地域的には江戸川区が多く発生しているようですが、人の交流の多い現在の状況からみると大田区も油断はできません。咳エチケットに心がけて、咳の出る人はマスクの着用、手洗い、ウガイを励行しましょう。咳が長引くときは早めに医療機関を受診して抗生物質の服用等の適切な治療をうけましょう。学校保健安全法では百日咳は第二種感染症に指定されていて症状の軽快するまで出席停止となっています。企業内でも百日咳に感染した者が出社して咳による飛沫を撒き散らすと、社員に感染が拡散して業務に支障が出たり、産業効率の低下が問題になるかもしれません。たかが「カゼ」と軽視せずにきちんと治療し、予防にも気をつけましょう。
平成22年6月
ロコモテイブシンドローム
最近、医療関係の記事にロコモテイブシンドロームと言う言葉が時々登場します。「運動器症候群」とも訳されるようですが、下肢の筋肉や関節、脊椎等に障害(疾病)があって歩行機能が低下したり、転倒しやすくなる状態を言います。
東京大学の中村先生(整形外科)による命名といわれています。
高齢化に伴って歩行機能を損なう病気が増えていますが、50代に入る頃から骨が脆くなる骨粗しょう症や、これによる骨折、変形性関節症や関節軟骨の変性による膝関節、股関節の故障、変形性脊椎症、椎間板の異常による下肢の放散痛等で歩行障害が増加してきます。ロコモテイブシンドロームの目安として片足立ちが15秒以下であるか、3mを歩くのに11秒以上かかるか(Timed
up and go test)テストしてみてください。
ロコモテイブシンドロームを来たす代表的な疾患を説明します。
骨粗鬆症
加齢とともに骨密度が低くなり骨折しやすくなります。背骨を構成している椎体が骨折(椎体骨折)すると姿勢が前屈したり、身長が低くなります。女性では50代後半で20%、70代後半では50%のかたが骨粗鬆症と推定されています。カルシウムを積極的に摂り、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKの含まれる食品を食べて、日光浴、運動も怠り無くして、適正体重を維持しましょう。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の腰椎部で椎間板や黄色靭帯、椎間関節という神経組織周囲の変性により脊柱管の中にある神経が圧迫されて坐骨神経痛や歩行障害を来たします。歩いて数分すると下肢に痺れや痛みが来て歩けなくなりますが少し休むとまた歩けるようになります。70代で27%、80代で38%と加齢とともに増加します。
無理のない適当な運動を続けてロコモテイブシンドロームを予防していつまでも自分の肢で歩けるようにしたいものです。
平成22年5月
「定期健康診断の有所見率の改善について」
今年の4月は例年に比べて寒い日が多く、雨の日も続きましたが皆さんはお元気ですか。
幸い花粉の飛散は少なくて、花粉症に悩まされる方にはラッキーだったかもしれません。
3月25日、厚生労働省労働基準局長名で「定期健康診断における有所見率の改善に向けた今後の取り組みについて」が発出されました。(基発0325第1号)
この通知が出された背景として、労働安全衛生規則第44条、45条の規定による定期健康診断の有所見率が平成20年度に51%に達した状況を憂慮して出されたものです。
因みに10年前の平成11年度は43%でした。これは労働者の半数以上の方が会社で行われる健康診断で常を指摘されたことになります。
仮に100人の方が健康診断を受けたとすれば51人が何らかの異常を指摘されたことになります。
異常値を指摘される検査項目としては脂質異常(コレステロール、中性脂肪の異常)が最も多く31.7%の方が異常値を示しています。
次いで肝機能異常が15.3%、高血圧が13.8%と続いています。
このような異常値を示す労働者(有所見の労働者)が年々増加の傾向にあり、一向に止まりません。
平成20年度からは腹囲の測定やタバコの喫煙の有無等、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に注目した項目も増えました。
通知の中で事業者は労働者に対する保健指導、健康教育にも取り組むように要望しています。
このような基礎疾患や異常値を指摘されている方を放置せずに保健指導を行い改善に努めさせて就労させないと、熱中症や脳・心疾患の発生予防に繋がらないことになります。
年々増加する脳・心疾患による労災支給決定件数の発生防止を図る点からも重要な問題と考えます。
いつまでも健康で働き続けてもらいたい、それには生活習慣にも気をつけてください。
平成22年4月
事業主・経営者のストレスとは!?
羽田鉄工団地の皆さん、こんにちは。大田地域産業保健センターの保健師 岡部花枝です。花の便りも聞かれる頃となりました。4月は入学、就職など新たな挑戦がスタートすることが多いと思います。こころと体の体調を崩されないよう、日頃の健康管理から充実させていきましょう。
さて、今月は昨年度行いました『こころの健康づくりのための環境づくり事業』アンケート結果第2弾です。第1弾では全労働者の方を対象にしたストレスチェックシートの結果を報告させていただきました。第2弾は事業者・経営者の皆さまにご協力いただいたアンケート結果の一部をご紹介させていただきます。
今回は大田区内にある150カ所の事業所にアンケートの依頼をし、127カ所の事業者・経営者の皆さまより回答をいただきました。回答を頂いた事業者・経営者は男性が113名、女性が14名でした。
≪アンケート結果≫
質問@職場内外のストレスは、複雑に絡み合ってこころの健康に影響を与えるといわれています。あなたが最近(1年以内)、特にストレスだなあ、と感じているものすべてにチェックを付けてください(複数回答)。
ストレスの原因として、「仕事や発注の減少」が最も多かったです。次いで、「会社内の人間関係」「会社の資金繰り」「技術の継承」などがありました。これまでも会社内の人間関係や過重労働(長時間勤務)は労働者のストレス原因と言われてきました。一方、仕事の発注の減少や会社の資金繰りなど、経済面での負担がストレス原因と言及される調査はあまり見受けられませんでした。ここ最近の経済状況の変化、不況が事業主・経営者に大きな精神的負担となっていると考えられます。
質問A元気に働ける条件として大切だなあ、と感じているものすべてにチェックを付けてください(複数回答)。
元気に働ける条件について、「仕事のやりがい、達成感等が感じられること」が第1位で、職場内の「人間関係」、「信頼関係」と続きました。また、第4位の「家庭円満、家族の支え」も大切な要素であることが分かりました。最近、ワークライフバランスの大切さが良く取り上げられます。1日24時間の生活サイクル全体の質が仕事と家庭双方に影響しあっていると考えられます。また「日頃から健康的な生活習慣を心がけること」も上位に挙げられ、皆さまの健康意識の高まりが伺えました。
今回は上記2項目の結果を取り上げました。長引く不況、経営危機など大変な苦労・苦痛もありますが、仕事と家庭の双方を充実させ、日頃から健康的な生活を送りましょう。こころや体の健康づくりでお悩みがありましたら、是非健康相談日をご利用ください。また、アンケートの詳しい結果を掲載した報告書(ガイドブック)を作成中です。出来あがり次第、羽田鉄工団地協同組合事務所にお届けいたします。いましばらくお待ちください。
最後に、私事ですが4月より都内の某総合病院にて勤務することとなりました。羽田鉄工団地の皆さまには大変お世話になり、心より感謝申し上げます。皆様の今後のご活躍とご健勝をお祈りいたします。ありがとうございました。
平成22年3月
「ムズムズ脚症候群」について
「暖冬」の予報が出ていた今年の冬ですが、予報とは裏腹に寒い日が続いていますが鉄工団地の皆様は元気にお仕事に励んでいることと思います。もっとも、この「かけはし」がお手元に届く頃は桜の開花も間近い陽気だと予想します。今回は「ムズムズ脚症候群」について書かせてもらいます。別名レストレスレッグス症候群とも呼ばれていて、夕方から夜にかけてじっとしているときなどに脚がムズムズしてきて、動かさずにいられなくなる病気です。「ムズムズする」「虫が這っている」「ピクピクする」などの不快感が生じてじっとしていられなくなることを言います。その不快感は脚の表面ではなく、脚の深部でおきるような感じがします。夕方から夜にかけてこの症状が現れると十分な睡眠がとれずに、昼間の仕事中に強い眠気を催します。「ムズムズ脚症候群」には他の病気や妊娠、腎透析、胃切除後、ある種の薬剤等が原因の二次性と原因が不明の一次性のものがあります。遺伝的素因や鉄欠乏状態による「ドパミン」という物質の不足が原因ではないかと推定されていますが原因不明です。女性に多い傾向があり、日本人の2〜5%の方にあると言われています。また、年齢と共に増加する傾向がありますので今後の高齢化につれて患者数は増加するものと思われます。
「ムズムズ脚症候群」の診断テスト
@脚に不快感や違和感があり、じっとしていられず脚を動かしたくなる。
Aその不快感や脚を動かしたい欲求は、座ったり横になったりするなど安静にしていると起こる、あるいは悪化する。
Bその不快感や脚を動かしたい欲求は、歩いたり脚を動かしたりすることで改善する。
Cその不快感や脚を動かしたい欲求は、日中より夕方や夜間に強くなる。
上記の4つ全てがYesならばあなたは「ムズムズ脚症候群」の可能性があります。
平成22年2月
『仕事とストレス〜アンケートの結果から』
羽田鉄工団地の皆さんこんにちは。保健師の岡部です。まだまだ寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。先日、2009年の自殺者数が約3.3万人と発表され、12年連続で年間自殺者数が3万人を超えました。不況、失業、将来の不安、個人・家庭のことなど…ストレスが多い世の中です。さて、今月号は昨年10月に行ったストレスに関するアンケートの報告をさせていただきます。このアンケートは大田区内の中小規模事業所(169事業所)に協力をお願いしました。
羽田鉄工団地では15事業所、労働者242名の方にご協力いただきました。そのうち217名が男性、25名が女性でした。年齢は30歳代が最も多く(73名)、次いで50歳代、40歳代の順でした。仕事の内容は、男性は製造・組立作業、女性は事務職が中心でした。
<仕事のストレス>
・仕事の量と質の負担…仕事のストレス度は自分の仕事を所定の時間内にやり遂げることが出来るかなど「仕事の量的負担」と、重大な責任を伴う、質の高い作業が求められるなど「仕事の質的負担」の両面から捉えます。
今回のアンケートから、男性労働者の方々において量的負担(時間内に仕事が終わらない)、質的負担(仕事中にかなり緊張する・身体をよく使う)が女性に比べ有意に大きかったです。特に製造・組立作業の男性は身体的な負担が大きい傾向にありました。立ち仕事や重い物を持つ等、様々な場面で身体を使う機会が多いと思います。作業姿勢に注意しながら、身体的負担が最小限になるように心掛けましょう。
<仕事のサポート>
・仕事のサポート、緩衝要因…職場の環境が良い事や、仕事が自分に合っている「適合性」、上司や同僚の支援は仕事ストレス軽減に不可欠です。また、ある程度の裁量権がある、自分で仕事のペースを決められることも仕事の負担軽減に繋がります。
アンケート結果をみると、事務職や製造・組立作業の方に比べ、営業職や運送の方々は自分のペースで仕事をするのが難しい傾向にあるようです。お客さんと約束がある、配送時間が決まっているなど、自分で仕事をコントロールするのは大変だと思います。小休止を取り、心身をリフレッシュさせながら作業をしましょう。また、一人に作業負担が偏っている場合、互いに仕事を調整し合うサポート体制が大切です。
職場環境や仕事が自分に合っているという感覚「仕事の適合性」は、男女ともに良好でした。
以上の結果は、皆さまにご協力いただいたアンケートの一部です。職場内の健康づくりにご活用頂けますと幸いです。近いうちに続報をお届けできればと思います。ご協力いただいた皆さま、お忙しい中アンケートにご記入いただき、本当にありがとうございました。
アルコール依存症について
新年明けましておめでとうございます。
昨年は新型インフルエンザの流行、前年から続いた経済大不況、政権与党の交代など様々なことがありました。
今年はいい年でありますように頑張っていきましょう。年末から年始にかけてお酒を飲む機会も多いことと思います。
今回はアルコールについて書かせてもらいます。
昨年12月4日、中医協の基本問題小委員会でアルコール依存症の問題が取り上げられました。
アルコール依存症は経済不況や失業者の増加等に影響されるのか、増加の傾向が見られます。
アルコール依存症は本人の嗜好の問題ではなく「病気」であると指摘されました。
うつ病の問題と関連して自殺との関係も明らかになり、平成10年以来年間3万人を超える自殺者の防止対策としても重要な喫緊の課題となっています。
アルコール依存症の診断として以下のことが上げられています。
@飲酒への強い欲望、飲まないではいられない強い強迫感。
A飲酒開始、飲酒終了、飲酒量のどれかのコントロール障害。
Bアルコールを中止したときの離脱症状(ソワソワと落ち着かなくなる)。
C耐性の証拠。
D飲酒のために他の趣味を無視するようになる。のべつ飲んでいる。
Eアルコールを飲むことにより障害が出ている。
この6項目中3項目が丸であればアルコール依存症となります。自分でテストしてみてください。
アルコールを摂ると動体視力が落ちて視野が狭くなり集中力が鈍り、運転に必要な的確な判断や必要な動作の遅れが現れます。飲酒後の運転は止めましょう。
1)酒を飲んでも1時間位眠れば運転は大丈夫・・・間違い、
身体中のアルコールは体重1キロにつき1時間に0.1グラムの速度で処理されます。体重60キロの人がビール大瓶を飲むと3〜4時間かかってアルコールを分解します。
2)お風呂、サウナで酒が抜ける・・・間違い、
血中アルコール濃度は下がりません。アルコール分解はむしろ遅れます。
3)「たくさんの水を飲めば」アルコールは薄まる・・・間違い、
口から飲んだ水では血中アルコール濃度は変わりません。アルコール分解を早めるドリンク剤等もありますが化学的に証明されていません。
アルコールは楽しく、適量に飲んでお互いにコミュニケーションを図りましょう。