かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) 羽田鉄工団地協同組合





労働衛生コンサルタント北條先生
&
岡部保健師
平成24年
1月 誤嚥性肺炎について 
2月 マイコプラズマ肺炎の大流行について
3月 花粉症について
4月 肥満について
5月 昼休みに昼寝はどうですか?
6月 熱中症に気をつけよう
7月 働く人のメンタルヘルスケアについて
8月 予防接種について
9月 風疹の流行について
10月 食中毒について
11月 女性の更年期障害 〜ただ具合が悪いだけ?〜
12月 双極性障害(躁うつ病)について


平成24年12月

双極性障害(躁うつ病)について

 いよいよ師走となり街が慌ただしい雰囲気となってきました。特に今年は「奇襲解散」による衆議院選挙と都知事の「突然辞任」による都知事選挙が一緒に行われますので街の騒々しさが一段と激しく感じられます。東日本大震災から二度目の師走を迎えるのに、一向に進まない復興や、全国民がイライラさせられている領土問題、それも中国だけではなく韓国からも攻められているようで、政治家の方々にしっかりしてもらわないと狭い国土がますますやせ細るのではないかと心配しています。
 今回の選挙は多数の政党ができて立候補者と党派の所属、主張が覚えきれませんが、当選した暁には国内外の問題に真剣に取り組んで頂きたいと思います。立候補者の方々は猛烈なストレスの真只中にいるわけですが我々も会社の内外でストレスに曝されています。   
 メンタル面の健康障害が増えてきたと言われはじめて10年近く経っていますが、医療機関に罹っている精神疾患の患者は323万人と推測されています。国は国民の健康に対する医療の重点策として4疾患5事業を打ち出していました。4疾患はがん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病でしたが、平成23年7月から精神疾患が追加されて5疾患5事業となりました。因みに、5事業は救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療を指します。企業でもメンタル不調を訴える方が多くなり心の健康問題として重視されるようになりました。原因としては企業内の人間関係が大きく取り上げられていてコミニュケーションの重要性が言われています。
 大田区の中小企業を対象とした調査では「仕事の受注の減少」もストレス要因の上位を占めていて、長引く不況の影響を感じました。今回は双極性障害(躁うつ病)について書きます。
 双極性障害は気分が高まったり、落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。およそ100人に1人が罹る病気で男女差はないと言われています。20代〜30代に発症する方が多いようです。躁状態のときの症状としてはエネルギーに溢れ、気分が高まって、元気満々の気分となります。あまり眠らないし、急に偉くなった気分で強い調子で話しかけ、自制がききません。社会を直し世界を救わなければいけないなどと誇大妄想的に演説をぶちあげたりして、多弁となります。また、怒りっぽくなります。それに対してうつ状態になると気分が落ち込み、寝てばかりいるようになり、何もやる気がしません。大好きなマンガも読めなくなり疲れやすく何も手につかない状態になります。死にたいと言ったりします。
 このように躁状態とうつ状態が繰り返されますが専門医に診断を受けて薬で治療してもらえば落ち着いてきます。
 社員や友人にこのような症状の方がいたら組合事務所の無料相談に来てください。




平成24年11月

女性の更年期障害 〜ただ具合が悪いだけ?〜

 羽田鉄工団地のみなさんこんにちは。保健師の岡部花枝です。
 鉄工団地の中では、多くの女性の皆さまがご活躍のことと思います。日常の生活の中で、ちょっとした体調不良や長引く症状に悩まされている方はいらっしゃいませんか?そこで、今月は女性の更年期障害についてお話します。
 「更年期障害」という言葉は、既に新聞やメディアでも広く取り上げられご存知の方が多いかと思います。「初めて聞いた!」と言う方も、なんとなくは知っているけど詳しくはわからない…という方も、実際にどのような症状があり、その治療方法について確認しましょう。

更年期障害って?
 「更年期」は女性の加齢に伴い身体に変化が起こる時期を言います。日本では閉経前後の5年間、合計10年間と言われています。閉経の時期は個人差があるので、具体的に何歳とは言われていません。更年期に出現する多種多様な症状を更年期症状と呼び、その症状の中で日常生活に支障をきたすものを更年期障害と言います。

更年期症状は?
@自律神経失調症状(顔のほてり・のぼせ、異常発汗、動悸、めまい)
A精神神経症状(情緒不安、いらいら、抑うつ気分、不安感、不眠、頭重感)
Bその他(腰痛、関節痛、吐き気、食欲不振、かゆみ、排尿障害、泌尿生殖器症状)
症状の発生頻度には個人差があります。

 日本人では肩こり、易疲労感、頭痛、のぼせ、腰痛、発汗があることが特徴です。これらの更年期症状に基づいて診断を行います。
 様々な症状があることが更年期障害の特徴です。症状が強い場合や更年期障害に対する治療が奏功しない場合は、婦人科以外に症状にあわせた専門科を受診する必要があります。

更年期障害の治療
@薬を使う治療
 ・エストロゲンという女性ホルモンの薬を使用しホルモンを補充
 ・漢方薬の治療
 ・抑うつ症状にたいする抗うつ薬の治療
A薬を使わない治療
 ・生活習慣の改善…自律神経失調症状(ほてり・のぼせなど)に対して「衣服を薄着する」「冷たい飲食物をとる」「運動  習慣」「太りすぎない」「禁煙」等がありますが、主には軽症の更年期障害の治療として行われます。
 (日本産婦人科学会・日本産婦人科医会産婦人科診療ガイドラインより一部抜粋)
 いずれにしても、専門家の医師による診察と診断が必要です。また症状やライフスタイルを考慮した治療をしていくことが大切です。もし、ご自身や周りの方でこのような症状に悩んでいらっしゃる方がいましたら、一度婦人科や内科を受診されることをおすすめします。
 病院に行くのはちょっと気が引けるかな…という時は、無料の健康相談にお越しください。お待ちしております。



平成24年10月

食中毒について

 食中毒とは細菌やウイルス、自然毒を食べることにより起こります。
 一般的には食中毒といえば細菌やウイルスなどの微生物で汚染された食物を摂取することで起こる病気を指します。感染型の食中毒は、体内に入った病原菌やウイルスが体内で増殖して、激しい腹痛、嘔吐、水様の下痢、血便、発熱などの症状を呈します。
 食中毒に関係深い細菌としては、魚の生食に多い腸炎ビブリオ、鶏肉や鶏卵のサルモネラ、家畜のカンピロバクター、毎年、話題となる病原性大腸菌(O-157、O-111など)があります。食中毒を起こすウイルスとしてはノロウイルス、ロタウイルスが有名です。夏に多い細菌性と異なり冬に流行します。生かきによるA型肝炎、イノシイ、鹿の生食によるE型肝炎の死亡例の報告があります。ジンギスカン料理の生焼けの羊肉でもE型肝炎で死亡する事件がありました。
 その他、自然毒によるものとして毒キノコ、毒草、ふぐ、貝類などがあります。次に化学物質によるものとして水銀、農薬の残留した食品によるものがあります。水俣病、イタイイタイ病、カネミ油症、森永ミルク事件などが有名です。

病原性大腸菌O-157について
 1982年ミシガン、オレゴンでハンバーガーによる集団食中毒発生、患者の糞便からO-157が見つかり、原因菌と特定。日本では1990年、埼玉県の幼稚園で飲料水から268名に感染、死亡2名。
 1996年関西地方で給食から591名、カイワレダイコンが疑われた。
 1998年北海道産イクラで49名。
 2001年牛タタキで240名。2011年ユッケ。

O-157とは
 ヒトや家畜の腸内には大腸菌が常在し、健康維持に必要な働きをする。この中で5種類の病原性大腸菌が下痢を引き起こす。O抗原により分類されていて181種類ある。O-026、O-111、O-157などが有名。
 症状・潜伏期2〜5日、腹痛、下痢、血便と進み数日で溶血性尿毒症症候群(HUS)、意識不明に陥る。
熱は37度程度。

北海道O-157集団感染事件
 場所 札幌市、江別市の高齢者施設
 原因 白菜漬け
 症状 下痢、血便
 8月28日まで128名感染、107名入院、死亡7名
 8月11日100歳代女、4歳女
 12日80歳代女
 16日90歳代女2名
 便からO-157検出。遺伝子型一致。ホテル、ゴルフ場で提供され、東京、山形、川崎にも患者発生。

食中毒を予防する3つの原則
食中毒の原因菌・ウイルスを
 1.つけない
    食品や手、調理器具をしっかり洗う。
    食品は包んで保存する。
 2.増やさない
    食品は室内に放置せず冷蔵庫に保存する。
    作った料理は早めに食べる。
 3.消滅させる
    食品内部まで十分に加熱する。
    調理器具を定期的に消毒する。



平成24年9月

風疹の流行について

 今年、話題となった感染症がいくつかあります。まず、風疹の大流行があります。関西地方を中心に流行が始まり、7月頃から東京周辺にも増えてきました。国立感染症研究所の発表によると主たる都市の患者数は東京235名、大阪199名、兵庫191名で例年の3倍の発生数だそうです。患者の8割は男性で、20歳から40歳の男性が多いとされています。
 風疹の予防接種は1994年までは女子中学生を中心に実施されていたためと言われています。1979年から1987年(昭和54年~62年)生まれの人の約半数は予防接種をしていません。妊娠初期から前半期に風疹ウイルスに感染すると胎児もウイルス感染となって、生まれてくる子供に障害が起こることが知られています。先天性風疹症候群といいますが、視力障害として白内障、緑内障、心疾患として心室中隔欠損、動脈管開存、肺動脈狭窄さらに難聴や精神発達面の障害を起こす恐れがあります。妊娠中の方は風疹の予防接種は受けられませんので、妊娠の可能性のある方は結婚したら妊娠していない期間に予防接種を受けるように勧められています。風疹の抗体検査を行ってから判断するのもいいでしょう。
 風疹は咳、クシャミ等による飛沫感染です。潜伏期間は2~3週で発疹、発熱、リンパ節の腫れが見られます。子供は比較的軽くすみますが、大人は発熱、発疹の期間が長く関節痛をともなって、1週間程度、休まなければいけない場合も珍しくありません。妊婦だけではなく男性も注意しましょう。

結核について

 東京都は7月9日、青梅市に或る精神病院(429床)で入院患者や職員に結核の集団感染が発生したと発表しました。 発症患者は10人、未発症者は68人で3人(肺結核1、誤嚥性肺炎2)が死亡しました。その後の調査で入院患者4人、職員3人が相次いで肺結核を発症したことが判明しました。発症者達から検出された結核菌の遺伝子検査で同一の感染源からの集団発生と判明しました。この背景には認知症治療病棟のため症状の訴えが無かった、初発患者は院内を徘徊していた、多くの入院患者が日中は院内のホールで一緒に過ごし、接触時間が長かった、患者の多くは糖尿病、呼吸器疾患等の基礎疾患をもつ高齢者で免疫力低下の状態であったこと等がその後の調査で分かりました。
 結核は戦前から戦後しばらく国民病といわれるほど多い病気でした。もう過去の病気と思われ勝ちですが平成22年の統計では新登録患者数が全国で約23,000人、東京都で3,045人と出ています。「かぜ」と思っても二週間以上も咳がグズグズと続く場合は医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。家族や事業所内の感染は絶対に避けたいものです。
 その他、食中毒のニュースも出ていましたが「生もの」や食品の扱いに気をつけて頑張ってください。



平成24年8月

予防接種について


 猛暑が続いていますが、元気に頑張っていますか。
 今回は主として小児に関係する予防接種について書かせてもらいます。今年の5月23日、厚生労働省感染症分科会が「予防接種の見直しについて」を発表しました。それによると、子宮頚がん、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、おたふくかぜ、成人肺炎球菌、B型肝炎の7ワクチンは医学的観点から広く接種を促進することが望ましいと提言しました。
 ロタについては再評価となりました。日本は先進国の中では「予防接種後進国」と言われています。数年前にカナダ旅行中の日本人高校生がはしか(麻疹)にかかり大騒ぎとなり、その後、大学生の間にも流行して「はしか輸出国」と揶揄されたことは記憶に新しいと思います。
 こうなった背景としてワクチン接種による副作用に対する無理解な過剰反応や大げさな報道も関係があると言われています。予防接種には費用負担の無い定期接種と費用負担のある任意接種の2種類があります。今回取り上げた7ワクチンは全て任意接種ですので費用負担があります。定期接種にするには財源の問題があり法制上の課題もあります。任意接種とは「希望者が受ければいい」軽い病気が対象と思われ勝ちですが、医学的に軽い疾患を任意接種にしたわけではありません。任意接種の対象疾患でも重い合併症や後遺症を残すものもあります。子供は出生して以降多くの感染症にかかりますが、ワクチンで予防可能な疾患から予防接種によって防御してあげるのは大人の義務であり、科学の進歩から享受する便益です。

ポリオワクチンについて・・定期接種に入っているポリオワクチンは今までは生ワクチン(経口)でしたが9月から、より安全な不活化ワクチン(注射)に変わります。お孫さん、お子さんのいる方は区報等に注意して下さい。

生ワクチン・・生きた細菌やウイルスの病原性を弱めたもの

不活化ワクチン・・細菌やウイルスを死滅させて免疫に必要な成分を取り出し毒性を無くして作成。

 暑さに負けずに頑張りましょう。



平成24年7月

 梅雨の晴れ間に夏の暑さを感じるようになりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 今回は7月5日に行われた経営者安全衛生セミナーでお話しした「働く人のメンタルヘルスケアについて」の一部をお伝えします。

[自殺の予防]
 昨年の日本での年間自殺者数は30,851人(交通事故死亡の約6倍)、世界全体でみてもTOP10に入っており、日本の自殺者数は世界からみても多い状況です。年間の自殺者3万人越えが10年以上続き、国としても自殺者数を少しでも減少させるため、自殺予防の政策展開がされています。自殺の原因は「健康問題」が最も多く、そのなかでも精神的疾患の不調があります。自殺に関連する精神疾患の代表が「うつ病」です。父親に向かって女子高校生の娘が「パパ眠れている?」と尋ねるコマーシャルや「ゲートキーパー」作戦がメディアでも取り上げられ、皆さまもよくご存知かと思います。これらは、身近な人がうつ病に気付き、自殺のストッパーになることを目的としています。

[うつ病の症状]
 うつ病の症状には、頭痛や不眠、めまい、肩こり、食欲不振、便秘、下痢等うつ病とは関係ないと思うような症状があります。初めは内科の病院を受診し治療を受けますが、なかなか症状が改善しないまま放置してしまうと、うつ病の発見が遅くなる可能性があります。初めに受診した内科医に相談することも大切です。

[労働者のメンタルヘルスチェック]
 開催中の通常国会において労働安全衛生法の一部法改正が審議中です。改正法の内容は、「精神的健康の状況調査(いわゆるメンタルヘルスチェック)」が義務化し、「事業者は労働者に対して精神的健康の状況を把握するための検査をしなければならない」となっています。労働者はストレスチェックの項目に回答し、ストレスが過多の場合は産業医の面接を受ける必要があります。面接の結果から、職場環境の改善や労働時間の短縮などを行い、労働者の精神的健康を守ること、職場内の産業保健活動(健康の保持増進)を充実させることを目指す仕組みです。政府は平成32年までに、全ての事業場で実施することを目標にしています。労働者の皆さまにとって、働きながらも健康を保持増進するために「働きやすい職場づくり」が重要です。これまでは、年1回の定期健康診断で身体の健康をチェックしてきましたが、これからは心の健康もチェックするようになりそうです。
 第180回通常国会が延期になったため、2012年6月27日現在ではまだまだ審議中です。



平成24年6月

熱中症に気をつけよう

 今年は寒い日が続いて桜の開花も例年より遅れましたが、5月の大型連休明け頃から日中の温度が25度以上になる暑い日が続くようになりました。早速、埼玉県で熱中症により倒れた事例がニュースで流れました。今年も東日本大震災による電力不足のため「節電対策」が求められています。
近年、増加しつつある熱中症には十分気をつけていただき、対策も講じる必要があると思います。熱中症は気温が高い日(28度以上)で湿度の高い日(70%以上)、風の無い日に多く発生しますので天気予報を参考にして熱中症に備えましょう。
 2〜3日涼しい日が続いた後に急に暑くなった日は熱中症が増えます。一日のうちでは、午前11時台と午後4時台に多く発生するといわれています。
 熱中症は屋外だけのものではありません。室内でも「閉め切った部屋」で寝込んだりすると、高温の室内で発汗が過多となり、体内に熱がこもって、さらには脱水の状態が合併して熱中症となり命にかかわる場合も珍しくありません。特に高齢者はクーラーの風が嫌いだったり、無用心なので窓を閉め切って就寝しますが、ご家族に高齢者や認知症の方がいる場合はご注意下さい。

熱中症の症状について

 次のような症状が出たら熱中症を疑い適切な処置が必要です。
 めまい、関節痛、筋肉のけいれん、大量の発汗、頭痛、気分の不快感、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、さらに重症になると意識障害、体温の上昇(40度を超えるような高体温)が出ます。このような場合は直ちに救急車を要請しましょう。生命に関わる危険な症状です。

対処法として

 意識のある場合は日陰の涼しい場所に移動しましょう。クーラーのよく効いた部屋も有効です。服装はゆるめて涼しい状態にする。自分で水分を摂れる場合はスポーツドリンクなどを飲ませる。吐き気があったり嘔吐しているときは無理に飲ませないで下さい。氷枕や濡れタオルなどで首、腋の下、太ももの付け根などの大血管の通っているところを冷やしてください。
 以上のような処置を行いながら様子によっては119番通報をすることをお勧めします。

熱中症の予防法

 睡眠を十分にとる。スポーツドリンクなどで水分と塩分をこまめにとる。高温、多湿、無風の日は要注意であることを自覚する。クーラー、扇風機を上手に使う。深酒は禁止。朝食はキチンととる。
 服装はクールビズなどで涼しくする。保冷グッズの活用。特に体温調節機能の低下している高齢者は用心しましょう。
 この夏も元気に頑張りましょう



平成24年5月

昼休みに昼寝はどうですか?

 羽田鉄工団地のみなさんこんにちは。
 保健師の岡部花枝です。
 年度の初めの繁忙から、大型連休で心も体もリフレッシュできましたでしょうか。
 春の優しい日差しの中ついつい睡魔におそわれることはありませんか?作業中や運転中に突然眠くなってしまうこと、特に昼食後は多いかと思います。アメリカでは睡眠の調査が多く行われています。それは仕事中の睡眠問題が原因になった事故により経済的に莫大な損失が発生したと言われています。日本においても睡眠障害による経済損失は、年間で3兆5千億円と試算されています。(日本睡眠学会より)
 睡眠の問題で主になるのは不眠ではないでしょうか。
 不眠は大きく4つのタイプに分かれます。
 「布団やベッドに入ったがなかなか眠れない」
 「すぐに眠れるが、夜中に何度も起きてしまう」
 「朝早くに目覚めて、その後眠れない」
 「遅くに寝て、遅くに起きる」
 シフトワークや海外出張後の時差など、仕事の内容によっては睡眠リズムには個別性があるかと思います。睡眠でなにか困っていること、難しさを感じている方は、一度受診されることをおすすめします。
多くの人は1日の3分の1は眠っています。「疲れたら眠る」は人間の生理学的な観点からも当然の行動と言われています。反対に、残りの2/3は連続して起きていることが多いです。連続した覚醒中に休憩(睡眠)は必要でしょうか?
数年前の睡眠に関した調査では、人は夜中と昼過ぎに眠くなると言われています。眠気に伴って、交通事故の増加や作業効率の低下が発生しているようです。
 そこで、お昼休みに15分間の午睡(いわゆる昼寝)をしたところ、交通事故の発生や作業効率に改善がみられたと報告されています。
 最近少し話題になった「コーヒーを飲んでから昼寝」は覚醒作用のあるカフェインを摂取してから15分程度の昼寝をすると、すっきりと目を覚ますことができると言われています。カフェインを摂取してから15〜30分程度でその効果が出現するため、目覚めがよくなるそうです。
 もし、お昼休みに眠気を感じて、午後からの業務に十分に打ち込めないとお悩みの方は昼寝を試すと良い効果が期待できるかもしれません。
 ただ寝過ぎや、遅い時間の仮眠はおすすめしません。夜の睡眠時間が十分にとれなくなる可能性があるからです。また昼寝のあとに少し眠気が残る場合がありますので、すぐに作業に取り掛かるときはご注意ください。何事も「ほどほど」が大切ですね。
 最後に春の健康診断を終えられ、そろそろ結果がお手元に届く頃かと思います。健康診断は受けて結果は渡されたけど・・・見方がよくわからない、これは病院に行ったほうがいいのか?などご不明な点やお困りの事はないでしょうか。その時は、組合事務所で定期開催している健康相談をご活用ください。
 産業医や保健師がみなさまのご利用をお待ちしております。



平成24年4月

肥満について

 我が国での肥満者は年々増加している傾向が続いています。肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態のことですが、肥満の考え方や基準は欧米とは大きく異なります。欧米に仕事や観光で出かける方も多いと思いますが、欧米では肥満者が多いことに驚くことと思います。欧米に比べると日本人の肥満は可愛いものです。
 肥満の基準はBMI(Body Mass Index)という数値が用いられます。体重を身長の二乗で割った数値で、日本では25以上を肥満と判定しています。欧米で使われるWHO基準ではBMI30以上が肥満であり25〜30未満は過体重(Preobese)と言われています。
 米国ではBMI30以上の人が国民の30%を超えていて、WHOの報告でもまだまだ増加中です。肥満は健康によくないと言われるようになった根拠はBMI値を基準にした研究で、有病率、死亡率がBMI22〜23で最も低いことからBMI18.5〜25.0未満を普通体重と定めました。
 我が国と欧米の間で肥満の基準が異なるのは、欧米は肥満者が多いこと以外にも理由があって、日本人は肥満度が低くても肥満に起因する合併症の有病率が欧米よりも高いことが挙げられます。
 日本の基準は男女合わせて約15万人の集団健診のデータからBMIが25を超えると高血糖、高血圧、脂質異常等の合併症を発病する人が増えることが分かったことから決められました。
 肥満者の増加のスピードは米国ではBMI30以上の人が1960年代には男10%女15%であったものが2005年には男女共30%を超えました。BMI40以上の高度肥満の人が4.8%に達しています。
 一方、日本ではBMI25以上の肥満者が1970年に男性は17%であったが2000年代には28%まで増加しました。女性は美容的な「やせ志向」もあり、肥満者はあまり増加していませんが閉経期や60歳代になると肥満者の増加が見られます。
 肥満者の中でも血糖や脂質等の代謝異常、高血圧や心臓疾患等の循環器異常が全く無い健康な例もありますが、問題となるのは内臓脂肪肥満型であり、CTスキャンで腹部内臓脂肪面積が100平方センチ以上あると肥満症と診断されます。この数値はBMI25と概ね一致していてメタボリックシンドロームと呼ばれる一群の疾患群を有する者は短命であると言われる概念の根幹となっています。

肥満症に関連の深い疾患として

@二型糖尿病
A脂質異常
B高血圧
C高尿酸血症
D脂肪肝
E脳梗塞
F心筋梗塞、狭心症
G睡眠時無呼吸症
H整形外科的疾患(変形性関節症、変形性脊椎症)
I月経異常
 そのほかにも子宮体がん、乳がん、大腸がん、肝がんなどが肥満に関連するのではないかと考えられています。
あまり美味しいものばかり食べないで仕事に頑張りましょう。



平成24年3月

花粉症について

 今年は例年に増して寒く、大雪の年でしたがやっと暖かくなってまいりました。いつもより遅れていた梅や多くの花が咲きそろう季節となりました。厳寒の冬が去って過ごしやすく外出も増える季節ですが、花粉症の方々にとっては憂鬱な季節となります。
 花粉症はアレルギー疾患の一つですが、人間の身体の防御機能としてバイ菌やウイルスなどの異物が体内に入ると、これ等を排除する仕組みがあります。                           
 花粉症の場合は花粉(スギ、ヒノキ、草花など)を異物と認識して鼻や眼の粘膜が異物(花粉)を追い出そうと反応します。その結果、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、涙といった症状となって花粉症の方々を悩ませます。
 花粉症になる人はアレルギー体質と言われる人たちで、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎のある人や親兄弟にそのような疾患を持っている方がいる人は花粉症に罹りやすいと考えていいでしょう。
 また、体質だけではなくて被曝する花粉の量によっても影響があります。今年は飛散する花粉量が例年よりも少ないと予想されていますが、花粉症の症状も軽くて済むかもしれません。近年、花粉症の患者は増加していますが、その理由として戦後の復興に必要な杉の大規模な植林があります。
 敗戦からの経済の回復、工業力の進展に伴い安価な外国産の木材に圧されて林業が衰退し枝打ち、下草の手入れが不十分になり花粉の飛散が増加したという事情もあるようです。
 そのほかにも自動車の排気等による環境汚染も花粉症増加の一因ではないかと推測されています。今まで花粉症を経験したことのない方がある年から花粉症に罹ることもあります。

花粉症の症状
 花粉症の症状の主なものはくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみですが鼻水などは「風邪」と間違ってしまいます。区別する点として、
 @1〜2週間症状が改善しない、花粉の飛散している間は症状が続く。
 A風邪のような高熱が出ない、鼻水は透明でさらさらで黄色や緑の色がついていない点に注意してください。そのほか、頭がボーッとしたり、だるい、皮膚の痒み、口の渇きなど多彩な症状が出現します。
 治療は症状に合わせて内服薬、点眼薬、点鼻薬、注射などが行われます。

日常生活上の注意
 花粉の季節には洗濯物、布団は外に干さない。
 飛散量の多い日は窓を閉める。
 室内はこまめに掃除する。ぬれた雑巾で拭く。
 抵抗力をつける。睡眠不足、過労、飲みすぎを避ける。
 花粉を家に持ち込まない、外出から帰った時はドアの外でコートや帽子の花粉を払う。
 花粉情報に注意する。
 外出から帰ったらうがい、手洗い、洗顔をする。

 この春も元気に過ごしましょう。



平成24年2月

マイコプラズマ肺炎の大流行について

 寒い日が続いていますが元気に頑張っていることと思います。
 我が国は一年が四季に分かれていて、季節によって、それぞれ流行する病気があります。
 例えば、春は花粉症、夏は食中毒(O157など)や熱射病に注意しなければいけません。秋から冬にかけては主として上気道感染症と言われる「風邪」が流行します。代表的なインフルエンザを筆頭に約200種にのぼる細菌やウイルスによって上気道感染症を引き起こします。
 今シーズンはRSウイルスとマイコプラズマ肺炎の増加が話題となっています。RSウイルスについては昨年書きましたので、今回はマイコプラズマ肺炎について書かせてもらいます。
 マイコプラズマ肺炎は昨年11月頃、皇太子殿下のお子様「愛子さま」が罹られて入院したことで一躍有名になりました。マイコプラズマ肺炎は咳、くしゃみなどにより飛散する飛沫による飛沫感染と接触感染で拡がります。学校、幼稚園、保育園等の比較的閉鎖した環境で濃厚に接触して感染します。
 初発症状は発熱、全身倦怠などですが、経過に従って咳が徐々に増強して解熱後も3〜4週間にわたって続きます。罹患年齢は幼児期、学童期が中心で7〜8歳にピークがあり、全報告例の80%は14歳以下です。
 昔は「異型肺炎」と言われて、レントゲン上の陰影が他の肺炎と少し異なるパターンを示すため、このように呼ばれていました。4年毎のオリンピックの開催年に流行すると言われてきましたが現在はこの傾向は見られません。毎年、地域的に小流行が繰り返されるようになり、季節としては秋から冬に多発する傾向があります。春先も少なくないので注意が必要です。
 治療は抗生物質による原因療法が基本ですがマイコプラズマには無効の抗生物質もありますし、耐性の問題もあるので医師に受診することが必要です。
 前回の風邪の時の飲み残しや友人から貰って服用しないで下さい。国立感染症研究所の感染症情報センターの発表によると今シーズンのマイコプラズマ肺炎の流行は1999年に調査を開始して以来、12年間で過去最高の水準で流行が続いていると報告しています。
 経済の低迷、政治混乱の中ですが、健康に気をつけて頑張るしかなさそうです。



平成24年1月

誤嚥性肺炎について

 新年明けましておめでとうございます。昨年は東日本大震災をはじめとして大災害の多い年でした。    
 天災以外でもギリシャを筆頭に国の経済が破綻するという前代未聞の事態となり連鎖反応のようにスペイン、イタリアの経済問題が浮上しました。日本も長期にわたる超円高が定着して経済への悪影響が心配されます。今年は良い年であることを願います。
 今回は、わが国の高齢者の増加にともなって増えてきた誤嚥性肺炎についてお話をします。誤嚥(ごえん)とは飲食物や自分の唾液が食道に入らずに、誤って気管に入ってしまうことを言います。正常な状態では、口に入れた食物は歯で細かく噛み砕かれて、唾液と混合されて、舌によって口の奥に運ばれて咽頭を通過して食道に入り胃に到達します。
 しかし、咽頭の奥で気管と食道は隣り合って隣接しているために誤って食物が気管に入ることがあります。このような場合むせたり、咳をしてかろうじて気管への流入を防いでいます。しかし、この反射が加齢や病気によって鈍くなり、素早く反応しない場合があります。
 このようにして起こる誤嚥には食物を飲み込めない明らかな誤嚥「顕性誤嚥」と睡眠中に唾液と一緒に口内の細菌を飲み込んでしまう「不顕性誤嚥」があります。
 誤嚥がもとで起こす肺炎を誤嚥性肺炎といいますが、加齢やもともとの持病によって飲み込む機能が低下している高齢者に多く見られます。誤嚥を起こしやすい病気としては脳血管障害、認知症、逆流性食道などが上げられます。食事中や食後にむせたり、咳き込むことが増えてきたら気をつけてください。特に高齢者が家族にいる方は注意して介護してあげてください。

予防法
 @意識してゴクンと飲み込みましょう。
 A食物にトロミをつけるなど誤嚥しないように工夫してください。
 B寝るときは頭の位置を少し高くしましょう。
 C歯磨き、ウガイ、入れ歯の手入れを心がけて口内を清潔に保ちましょう。
 D誤嚥を予防するため口のまわり、頬、舌の動きを鍛えましょう。
 (頬をふくらます、唇をとがらせる、舌を出して左右の口角をなめる、舌を出来るだけ前に突き出す、口角を横に引く)
 食事はあわてずにゆっくりたべることをお勧めします。今年も元気に頑張りましょう。


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