かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) 羽田鉄工団地協同組合





労働衛生コンサルタント北條先生
&
岡部保健師
令和元年月
1月 老年症候群とACP(Advance Care Planning)
2月 熱意をもっていきいき働く「ワーク・エンゲイジメント」という考え方 
3月 花粉症について 
4月 時間外労働と健康 
5月 便秘について 
6月 もしかして熱中症? 熱中症の症状と対処法 
7月 高齢単身所帯と熱中症対策
8月 3原則で食中毒を予防! 
9月 虫刺さされに注意 
 10月 日本の将来推計と医療保険
 11月 痛風について 
 12月  



令和1年11月

痛風について    
 
台風19号は今まで想像もしなかった広域にわたって多くの河川を氾濫させ甚大な被害を与えました。
都内や隣接する川崎市でも被害が出て高層ビルの問題点を浮き上がらせました。心からお見舞い申し上げます。
前回は虫刺されについて書きましたが最近のニュースで海外渡航歴の無い若者2名が奈良(?)で蚊に刺されてデング熱を発病したと伝えています。
また、青海埠頭コンテナヤード(江東区)で火蟻の女王蟻が多数見つかったと報じています。猛暑の影響か虫が多いようですのでご注意ください。
今回は痛風について書かせていただきます。
痛風はかつて「贅沢病」といわれていて美食やワインなどのアルコールを日常的に摂取する富裕層の病気でした。歴代の皇帝や英雄も痛風に苦しめられました。
アレキサンダー大王、カール大帝、ダビンチ、ミケランジェロ、ヘンリー7世、8世、ガリレオ、ニュートン、ゲーテ、ナポレオン、ダーウイン、チャーチルなどが有名です。
「皇帝病」と言われたこともあります。
痛風の歴史は古く、ヒポクラテスはエジプトのミイラの関節に痛風の痕跡を見つけています。
痛風の名前の由来は関節の激しい痛みを「風があたっても痛い」「風が吹いても痛い」ということのようです。
痛風の患者の90〜95%は中高年男子です。患者数は約60万人と言われていますが予備軍である「高尿酸血症」の方はこの10倍と推定されています。
近年、痛風患者は増えていますが、原因として経済の発展や食生活の欧米化にともなって肉食やアルコール摂取の増加、運動不足があります。
痛風は血液中の尿酸が上昇して結晶化し関節に沈着することで炎症を起こします。突然起こる激しい関節の痛みと腫脹(赤く腫れます)で始まります。
歩行困難となり仕事に支障をきたします。発作を繰り返すと関節炎は重症化して長引くようになります。
健康診断で尿酸値が7.0mgを超えたら要注意です。尿酸は通常は汗や尿、便と一緒に排出されますが、尿酸の原料となるプリン体と呼ばれる物質を多く摂取すると「高尿酸血症」となって発作につながります。過食や飲酒は引き金になり、肥満やストレスも関与します。
健康診断で尿酸値が7.0mgを超えたらプリン体の多い食品はとらないように努めてください。プリン体の多い食品としては鶏レバー、豚レバー、牛レバー、マイワシ干物、あん肝などがあります。
ビールに限らずアルコール多飲は発作を誘発します。適度な運動、肥満の予防も大事です。
健康診断の結果をもう一度見直してください。



令和1年10月

日本の将来推計と医療保険  

【2022年危機】
羽田鉄工団地の皆さんこんにちは。令和元年10月から消費増税ですね。年金や医療・介護にかかる社会保障費用、子育て支援の財源を増やすために増税がされていると思いますが、日本の近い将来に訪れる「2022年危機」をご存知でしょうか。
現在の日本人の人口推計では高齢者が増加し、働き盛りの世代は減少していくことが言われています(図.日本の将来推計人口)。そのため医療費や介護費を支えるため、現役世代が負担する額は増えています。
団塊の世代が75歳に到達しはじめる2022年から、現役世代の高齢者医療のための拠出金負担がさらに急増することが指摘されており、健康保険組合連合会(以下、健保連)はこれを「2022年危機」と位置づけ、日本政府に改革を求めています。健保連の試算の結果では、全国約1,400健康保険組合の健康保険料率は平均して2019年度は9.2%、2022年度は9.8%、2025年度は10.4%へ増加すると予測しています。
健保連では「2022年危機」について「現役世代への負担増は限界があり、医療保険制度全体の財政悪化も急速に進む」として大きな危機感を募らせています。
【糖尿病を治療して医療費を削減!】
 日本には国民皆保険制度があり、病院を受診すると1〜3割の医療費負担で誰もが医療を受療することができます。
医療の高度化、高齢者の増加など医療費を大きく減少させることは難しいものですが、ひとり一人が自身の生活を見直すことで医療費の削減につながる可能性についてイギリスでの研究報告がありましたのでご紹介します。
 イギリスでは、1型糖尿病患者の2/3、2型糖尿病患者の1/3が糖尿病のコントロールが不十分で、糖尿病合併症のリスク(腎臓病や網膜症による失明)が高まっているそうです。また、糖尿病の合併症に関連して緊急入院や治療を要し、医療費の追加が必要となり、医療費の増加が深刻な問題になっています。
研究者の試算によると、例えば糖尿病がない人の年間医療費が44,800円に対して、2型糖尿病患者の医療費は102,700円と2倍以上の差があり、さらに救急医療が加わると医療費は3倍以上に膨れ上がることがわかりました。
実際には糖尿病による経済的な負担には医療費だけではなく、死亡や仕事の損失、糖尿病以外の病気など間接的な費用も含まれるので、糖尿病による社会的な損失はさらに多額になると考えられます。しかし、糖尿病は日常の食事や運動、薬物治療(内服薬、注射など)の治療により、血糖値をある程度コントロールすることができます。血糖値のコントロールを良好にすることにより合併症の発症を防ぎ、医療費の大幅な削減へとつながることが考えられます。
 日本では2013年に日本糖尿病学会において「熊本宣言2013」を宣言し、糖尿病の治療向上や合併症予防のために「あなたとあなたの大切な人のために 「Keep your A1c below7%」のメッセージを発信しています。
 過去1〜3か月間の血糖値のコントロール状況を評価する血液検査の「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」を7%より下げて、糖尿病のコントロールを良好にすることで、糖尿病の合併症を予防し健康寿命を延伸させていくことが狙いです。
是非皆さんもKeep your A1c below7%でいつまでも健康でありますように。



令和元年9月


「虫さされ」に注意

厳しい猛暑も少し和らいできましたが羽田鉄工団地の皆さんは「熱中症」にはかかりませんでしたか。
8月23日、気象庁は9月から11月までの3か月予報を発表しましたが日本列島は全国的に厳しい残暑が見込まれると発表しました。もう少し注意が必要のようです。
例年よりも暑い日が続いたせいか虫が多いようで複数の会社から「虫さされ」についての要望がありました。
たかが「虫刺され」でもアレルギー体質の方などは出社できないほどの激しい症状になります。
「虫刺され」についての対処法を夏秋先生(兵庫医科大)が書いていましたので参考に引用させてもらいました。

蚊 
かゆみ止めの外用薬を塗る。
ハチ 
傷口を流水で洗ってから冷やす。
スズメバチなどの大型のハチ
医療機関を受診する。意識障害などのアナフラキシーを疑わせるときは救急車を呼ぶ。
ドクガ
毛虫に触れた直後ならば粘着テープで毛(毒針)を取り除き流水で洗い流す。
ブユ 
ステロイド外用薬を塗る。
アブ
止血して患部を消毒してステロイド外用薬を塗る。

マダニ
無理に引き抜くと頭部が皮膚に残り炎症を起こす。

「虫刺され」による感染症
蚊によるものとしては日本脳炎、ウエストナイル病、デング、ジカ熱、チクングニア等があります。
火蟻も話題になりました。
ツツガムシはリケッチャを感染させて重症化することがあります。
マダニはウイルスを感染させて重症熱性血小板減少症候群を発生させて死亡者も出ています。
野山へ出かける時は夏でも長そで、長ズボン、帽子、手袋を着用して虫よけ剤も上手に使いましょう。
蚊は黒い服やストッキングが好きです。
幼児やアルコールを飲んだ人も大好きです。
「虫刺され」に注意して過ごしてください。

蚊による感染症
ウエストナイル病
デング
マラリヤ
日本脳炎
ジカ熱
Tikunngunya 熱
ツツガムシ病
マダニ


令和1年8月

 羽田鉄工団地の皆様、こんにちは。
 東京は7月下旬に梅雨が明け、本格的な夏の暑さが到来していますが体調いかがお過ごしでしょうか。夏場の健康管理というと熱中症対策が最近は最も注目をされますが、その次に多いのは食中毒ではないでしょうか。
 最近の東京都内における食中毒の発生状況をみると、夏と冬に食中毒の発生が多くみられます。高温、多湿になる日本の夏は、食中毒を引き起こす主な原因となる「細菌」が繁殖しやすい季節です。温度や湿度などの条件がそろうと食べ物の中で細菌が増殖し、その食べ物を食べることにより食中毒を引き起こします。特に夏場に多い細菌は腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ属菌などです。

?腸管出血性大腸菌(O157やO111など)
牛や豚などの家畜の腸の中にいる病原大腸菌で、O157やO111などがよく知られています。毒性の強い毒素を出し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を引き起こします。食肉に付 着していることが多く、生肉や加熱不十分な肉を食べることによって食中毒を発症します。

?食中毒予防の3原則「つけない」「増やさない」「やっつける」
1、調理前に必ず手洗い(菌をつけない) 
2、生鮮食品はすぐに冷蔵庫へ(増やさない)
3、食材を中心までよく加熱(やっつける)
腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上の加熱で死滅しますので、十分に加熱をしてから食べましょう。特に夏場のレジャー、BBQなどでは生焼けの肉を食して、食中毒が発生しや すい環境ですので、3原則を守って食中毒にならないように注意してください。職場にお弁当を持参される方は、必ず冷蔵庫で保存して冷やしておきましょう。

?食中毒になったとき

腹痛、下痢や嘔吐などの食中毒症状が改善されない、もしくは症状が強い時は早急に医療機関を受診しましょう。
(医療機関受診の目安〉
・水分の補給ができない
・一日に10回以上、嘔吐・下痢、血便がある
・腹痛が続く
・グッタリしている
・高熱がある など



令和元年7月


羽田鉄工団地の皆様こんにちは。
猛暑の季節がやってきました。前回の岡部さんの「熱中症」に続いて高齢単身者の熱中症対策を書かせていただきます。
熱中症は灼熱のような直射日光の下で起きるとは限りません。特に高齢者(65歳以上)ですと熱中症に対して不利な条件がいくつか備わります。熱中症で搬送される約半数の方は65歳以上です。
また、熱中症による死亡の8割は65歳以上で、そのうち5割の方は家の中で亡くなっています。(厚労省の統計によります)

家の中にいて熱中症になって死亡するのは
@高齢者は暑さに対する体力が低下している。
A持病を持っていて薬を服用している。高血圧や糖尿病で利尿効果のある薬を服用していると脱水を起こしやすい。
B皮膚の温度センサーが鈍くなっている。かなり暑い日でも冬物の洋服や厚着をしている方がいます。体温調節機能が低下し   ていますので暑さを我慢してしまって熱中症になります。暑さのために食欲が低下して水分の摂り方が不足します。様々な条  件が重なり合ってます。

高齢単身者所帯について
 近年、高齢単身者所帯が増えています。少子化、核家族化、高齢化が相乗して高齢者の独り暮らしが男女ともに増えています。国民の3人に1人が65歳以上になると予想されている2025年には男子の14.6%(230万人)女子の22.6%(470万人)が単身者所帯となります。男性の方が早く亡くなるので75歳以上の高齢単身女性が増えます。
1980年(昭和55年)の調査では男子の4.3%(19万人)女子の11.2%(69万人)ですので増加ぶりが分かります。
大田区の人口は約73万人ですが高齢単身所帯(65歳以上で独り暮らし)は4,901所帯(20.8%)で年々増加中です。

独り暮らしの高齢者の注意点
 1)温度計、湿度計を備えて数値を目安に室温管理を行う。
 2)水分の補給。高齢者は喉の渇きも鈍感になっています。水を飲むとトイレの回数が増えることを懸念して、特に体の不自由   な方は水分を摂らない傾向があります。
 3)独り暮らしの方は具合が悪くて倒れても発見が遅れて重症化することがしばしばです。
   高齢者白書(内閣府)によると単身所帯で毎日人と会話している人は75.8%で2〜3日に1回の会話が14.8%となっていて   地域とのつきあいも希薄になっています。
 4)高齢者の方にはエアコンを嫌う方も少なくありません。「もったいない」「ガマンすればいい」と考える方もいます。エア   コンの利用を勧めてください。
 5)高齢者の方は他人に迷惑をかけまいと具合が悪くとも助けを求めず我慢する傾向があります。声を掛けやすい近所付き合い   も大切です。
 6)夏の間は日当たりの少ない方向に部屋を移動することも必要です。いろいろ工夫をして猛暑を乗り切りましょう。



令和元年6月


もしかして熱中症? 熱中症の症状と対処法
 
 羽田鉄工団地の皆さんこんにちは。令和という新しい時代もよろしくお願いいたします。
5月も夏を感じる暑さが続いています。毎年のことですが、熱中症により病院へ搬送される人や残念ながら亡くなる方がいらっしゃいます。皆さんの職場における熱中症対策はいかがでしょうか。予防策をとっていても熱中症が発生する可能性はゼロではありません。万が一、熱中症が発生した場合に備えて、熱中症の症状や対処法について確認をお願いします。

1.熱中症とは
 熱中症は端的に言うと、身体から汗が出過ぎて、体温を調整するしくみが空回りしたり、身体の水分(主に血液)が不足したりして、身体が脱水症状や高体温になっている状況です。

2.熱中症の要因と対策
@作業環境の調整:冷却機器や冷却グッズの利用、WBGT計の活用
A適度な休憩:1時間に5〜10分、日陰で休憩をとる
B健康管理:水分・塩分の摂取、健康管理(朝食を食べる、二日酔いしない)

3.熱中症の症状
・自分で気づく症状
大量の発汗、体温上昇、頭痛、吐き気、めまい、動悸、こむらがえり、脱力、倦怠感など
・周囲が気づく症状
大量の発汗、フラフラしている、顔色が悪い、動きが鈍い、言動がおかしい

4.熱中症の対処法
 上記熱中症の症状にあるような状態で、熱中症が疑われる場合はすぐに対処しましょう。特に水分が飲めるか飲めないかが重要なポイントです。
@涼しい場所へ移動(事務所(室温25℃程度)、クーラーをきかせた車内、日陰など)
A衣服を緩めて靴や靴下を脱がせる
B保冷剤で首、腋の下、足のつけ根を冷やす
C仰向けか横向きに寝かせる
D水分(塩分や糖分も含まれているスポーツドリンクや経口補水液)を摂取する

・水分摂取できる場合
しばらく休憩をして症状が回復、意識がはっきりしていれば病院受診は不要もしくは必要性は低い状況です。当日の暑熱作業は避けるようにしましょう。
・水分摂取できない場合
脈や呼吸が速い、ふらついている、言動や意識がない又はおかしい等、異変がある時は速やかに受診しましょう(場合によっては、ためらわずに救急搬送を!)

5.医療機関受診時のポイント
病院を受診するときには、下記を医師に伝えていただくと処置がよりスムーズになります。
・持病の有無、治療状況は?
・作業開始前の体調は?(風邪気味、二日酔い、下痢、嘔吐、睡眠不足、朝食欠食など)
・どんな環境で(場所、気温、湿度、風速など)
・何をどの程度(作業強度と時間の長さ)行ったか?
・倒れた時の様子はどうだったか?
・水分や塩分の補給状況は?
・冷却法の程度は?(何を・どこに・どれくらい)
・応急処置をした後に症状は改善?悪化?
搬送に付き添う人は、以上の項目をわかる範囲でメモしておきましょう。



令和元年5月

便秘について

年号が平成から令和に変わりました。10連休はいかがでしたか?私は休日診療などがあり例年の休日数でした。便秘はよくある症状ですが「おなかが張って仕事に集中できない」「トイレが長く迷惑かける」「旅行や外出を控える」などの原因となります。便秘は「本来体外に排泄すべき糞便を十分量、快適に排泄できない状態」と定義されています。便秘で悩んでいる方は国民生活基礎調査(厚労省)によると男女ともに加齢に伴い上昇します。若年層では女性の便秘が多いものの70歳以上では男女ほぼ同率となり約70%の方が便秘を訴えています。有病者数は約480万人と推計されています。便秘は原因別に種類が分けられていて治療もそれに従う必要があります。

@器質的便秘
腸管の形態の異常や腸管外の臓器の病変が腸管を圧迫、浸潤する内臓の異常によるものです。先天性では巨大結腸症や炎症性腸疾患による腸管の狭窄、骨盤内腫瘍による圧迫で起こります。
A機能性便秘
腸管や他の臓器に異常が見られない便秘です。一過性単純性便秘と生活習慣などが関与する常習性便秘に分けられ、常習性便秘は直腸性便秘(習慣性便秘)結腸性便秘(弛緩性便秘)痙攣性便秘の3つに分けられます。
A)直腸性便秘(習慣性便秘)
便意があるのに我慢する、下剤、浣腸の乱用で正常な排便反射が起きない(女性に多い)
B)結腸性便秘(弛緩性便秘)
腸管緊張の低下や腸管運動の鈍化で腸管の内容物の通過が遅れて水分が過剰に吸収されてしまう(高齢者、ねたきり、食事摂取量の少ない人)
C)痙攣性便秘
ストレス、自律神経の乱れ、過度の緊張によって腸管が強く収縮して腸の内容物が直腸へ流入するのが遅れて兎糞状になる。(若年者、過敏性大腸の便秘型など)
D)症候性便秘
パーキンソン病、糖尿病、甲状腺機能低下症、低血症などで起こる便秘。
E)薬物性便秘
薬物の副作用で起こる便秘。通常、食物とともに摂取される水分は1日2リットル(L)、さらに唾液1L、胃液2L、胆汁1L、膵液2L,腸液1Lが加わり8〜10Lの水が小腸へ流入します。そのうち80〜90%は小腸で吸収されて残りは大腸で吸収されます。便とともに排泄される水分は0.1〜0.2%で水分が多いと下痢になります。食事や生活習慣に気をつけて便秘を防ぎましょう。



平成31年4月

時間外労働と健康

 羽田鉄工団地の皆さま、こんにちは。
 年度初めの頃、何かと慌ただしい日々が続いていると思いますが、体調はいかがお過ごしでしょうか。
 2019年4月から、労働基準法が1947年に制定されて以降、初めての残業(時間外労働)の上限規制が行われます。
 中小企業では2020年より適用となります。これまでは、いわゆる36協定という労使協定で残業時間の上限を決めていたと思います。特別に忙しい時などは、特別条項つきの36協定を締結することで、残業することができましたが、2019年4月からは法律で上限が定められますので、会社はそれ以上の残業をさせると違反になります。原則で上限の残業は月45時間・年間360時間、特別な場合で年間720時間(休日労働を含む)を上限として、労使で合意した時間までの残業となります。(ただし月45時間を超える残業は年に6回まで)残業時間が規制される背景には、働き過ぎによる過労死を予防するためです。
特に、月間100時間以上もしくは2〜6ヶ月平均時間外労働が80時間以上の場合は、脳心血管疾患の発症を予防するため産業医面談を実施する必要があります。
 過重労働により血管系にストレスがかかること、睡眠時間が不足することなどにより脳心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)を発症しやすくなるためです。
 また高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の方は、動脈硬化(血管が固くなったり、詰まりやすくなったりする状態)になりやすく、動脈硬化から脳心血管疾患を発症するリスクが高くなります。そのためより一層に働き過ぎには注意が必要です。
 最近の国内における研究報告(多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ)では、1日の労働時間が11時間の人は、8時間働く人に比べて急性心筋梗塞を発症する可能性が1.6倍も高いということが示唆されました。(図1)
 さらに企業などで働き長時間労働をしている男性は2.11倍、50歳代で長時間労働をしている男性では2.6倍にリスクが高まると報告されています。
 長時間労働が急性心筋梗塞の発症リスクを上昇させる背景に長時間労働の結果として、「睡眠時間が短くなり疲労の回復が十分ではない」、「精神的ストレスが増加する」ことが考えられます。1日の労働時間が11時間と想定すると1日8時間労働・月20日稼動した場合、時間外労働時間が1日3時間、月間60時間になります。
 先の述べた通り、現在は健康障害を予防するための産業医面談の基準は月間100時間以上もしくは2〜6ヶ月平均80時間以上となっていますが、今後はこの新たな知見をもとに基準の見直しがなされるかもしれません。
 労働時間と心とからだの健康には密接な関係があります。働き過ぎにより健康を損なうことがないよう、皆さんも仕事と生活のバランスを大切に日々の健康管理に努めていきましょう。



平成31年3月 

花粉症について

 羽田鉄工団地の皆様こんにちは。インフルエンザの大流行が終息して花粉症の季節に入れ替わりました。   
今年のインフルエンザの流行は1月20日〜27日の週の集計が過去最多を記録し、222万6000人が罹患したと報じられています。圧倒的にA型が多い流行でした。
図は過去5年間の流行状況ですが今年の流行は突出していることが分かります。予防接種をしてもインフルエンザに罹ってしまった方もいましたが、予防接種を受けていると肺炎などの重症化することが少なく予防接種はムダではありません。
 特に幼児や高齢者はインフルエンザで死亡することもありますから予防接種を勧めています。特に産業衛生の観点からも企業内で集団的にインフルエンザが発生しますと業務に大きな支障をきたしますので来シーズンは予防接種の励行をお願い致します。
 さて、花粉症のことですが、花粉症は草や木の花粉が原因で起こるアレルギー性の病気です。連続するくしゃみ、鼻水、鼻づまり、などの鼻の症状やノドの痛み、カサカサ感があります さらに、目のかすみ、充血、涙目、目やになどの目の症状もみられます。その他に皮膚の痒みやただれ、肌荒れに悩まされる方もいます。もともとアレルギー体質の方が様々な植物の花粉にさらされることによって起こる反応です。30年〜40年前までは花粉症はあまり問題になりませんでした。
 最初に問題になったのは「ブタクサ」の花粉だったといわれています。花粉が原因と分かってきてスギ、ヒノキをはじめ現在では60種類以上も花粉症の原因として上げられています。
 日本人に圧倒的に多いのはスギ花粉が原因のものです。日本にはスギが多いことや温暖化の影響と林業の衰退による「枝うち」「下草刈り」「植林」などの手入れが減り高齢スギが増えていてスギ花粉が増加しています。森林も少子高齢化しているのかもしれません。国民の15%以上が花粉症で悩んでいます。
 工業化した国で増加傾向にあり、排出ガスなどと複合した原因も考えられます。
 花粉症の起こる季節としては「春」と「秋」にピークがあります。春はスギ、ヒノキなどを中心とした樹木の花粉、秋は「イネ科植物」による草花の花粉によるものが中心です。
 予防としては花粉の飛散する季節がくる前に、年が明けたらすぐに体調の管理に努めて準備に入ります。鼻やノドを刺激するタバコは止めてください。
禁煙で花粉症が治った方もいます。
本格的に花粉が飛ぶ前から予防的に薬を飲み点眼薬、点鼻薬を使うことも有効です。
 シーズン中は外出を避けて、外出する場合は帽子、ゴーグル、マスクを着けて、洋服は花粉の落ちやすい生地のものがすすめられます。ウール、毛皮の着用は避けたほうが家の中へ花粉を持ち込まないことになります。メガネによって目に入る花粉は2分の1になります。マスクによって口に入る花粉は3分の1に減らすことができます。
この季節は洗濯物やふとんは外に干さないで室内でするように心がけましょう。アメリカの大学生を対象に行った調査によれば花粉症の学生は学習効率も低下して試験成績も劣ったというデータが示されています。花粉症の方は対策をしっかり行って業務に支障をきたさないように努めてください。



平成31年2月 

熱意をもっていきいき働く「ワーク・エンゲイジメント」という考え方

 羽田鉄工団地の皆さん、こんにちは。年明けからはインフルエンザが流行していますが、お元気でしょうか。寒い日が続くと気分も憂うつ、仕事へ行ったり趣味を楽しんだりするのが何となく億劫だと感じる方もいるかもしれません。職場のメンタルヘルスは以前から注目されていますが、どちらかと言うと過重労働や職場の人間関係等による「メンタルヘルス不調」といったネガティブな内容が取り上げられることが多くありました。
最近では「職場のポジティブメンタルヘルス」が重要視されるようになり、熱意をもっていきいき働く「ワーク・エンゲイジメント」という概念に注目が集まっています。
ワーク・エンゲイジメントは仕事への熱意、没頭、活力の3つが揃った状態とされ、仕事に対して過度にエネルギーを費やした結果、疲弊し仕事への熱意が低下している状態(バーンアウト:燃え尽き)とは対概念として位置づけられています。

これまでにワーク・エンゲイジメントの高い人は、心身の健康が良好で、生産性も高いことが明らかにされています。一方では、ワーク・エンゲイジメントが高すぎると、仕事への熱心さや没頭により心身の健康を損ない、生産性も低下するのではないかといった負の影響があるのではないかと指摘されていました。日本国内においては、北里大学の島津教授らがワーク・エンゲイジメントについて研究をしており、ワーク・エンゲイジメントは長期的にも精神的健康への好ましい影響は弱まることはなく、ワーク・エンゲイジメントが高まるほど精神的健康が向上することを明らかにしました。また、生産性にも好ましい影響を及ぼし、ワーク・エンゲイジメントが高まるほど生産性が向上するそうです。

?ワーク・エンゲイジメントの3つの要素熱意:仕事に誇りややりがいを感じている没頭:仕事に熱心に取り組んでいる活力:仕事から活力を得ていきいきとしている

?あなたのワーク・エンゲイジメント度は?
 こちらの9つの質問に対して、全くないの0点から毎日/いつも感じるの6点のいずれか最も当てはまる数字を選び、合計点を9で割り、平均点を算出してご自身のワーク・エンゲイジメント度を確認してみましょう。日本人は諸外国に比べると、ワーク・エンゲイジメントが低いと言われており、平均点が3点程度(ワーク・エンゲイジメントが高い国では平均4点程度)です。あなたのワーク・エンゲイジメント度はいかがでしたか?


平成31年1月

老年症候群とACP(Advance Care Planning)

 羽田鉄工団地の皆さま明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 今年は平成最後の年で年号が変わる年です。お楽しみの10連休が控えていますが10日間連続の休日をどう過ごせばいいか戸惑ってしまいます。
 12月21日厚労省は2018年の人口動態統計(年間推定)を発表しました。2018年生まれの子供は92万1000人で過去最少でした。1899年に統計を取り始めて以来の最少を更新するのは確実だそうです。
 一方、死亡者数は約137万人と12年連続で出生数を上回り、人口の自然減は過去最多の44万8000人だそうです。人口約45万人の地方都市が一つ消滅したことになりますが肌寒い感じがします。
 死亡者数については2040年頃には年間160万人と予測されていて多死時代がくるといわれています。
 今後ますます高齢化社会が進んでいくわけですが、医療や社会の制度も少しずつ変わりつつあります。
65歳以上の人口が3000万人を超えてきていますので喫緊の課題として厚労省老健局は25年6月地域包括ケアシステムをたちあげる研究会をスタートさせて現在進行中です。
 この趣旨は高齢になって重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けることが出来るように、住居、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されるシステムの構築について2025年を目途に推進しています。身体の問題だけではなく認知症の場合など多職種の連携による地域でのサポートが大事です。

老年症候群(Geriatric syndrome)
 高齢者では根治困難な病気、症状が少なからず存在します。疾病やその症状は加齢や社会的背景の影響が大きく複雑に絡み合って治癒を妨げます。
老年症候群は高齢者にありふれた多岐にわたる心身の諸症状のことを指します。日常生活の自立を妨げることが多く、医療だけではなく介護や生活支援が必要です。



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