かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) 羽田鉄工団地協同組合






労働衛生コンサルタント北條先生
&
岡部保健師
令和3年
1月 コロナ渦と「こころの健康」 
2月 だからこそ、心とからだの健康チェック 
3月 新型コロナウイルス感染検査について
4月 コロナ渦における心の健康、日頃の感染対策
5月 新型コロナワクチンについて 
6月 コロナ禍の熱中症対策 
7月 ゲーム依存は病気です
8月 1年に1回は健康診断を受診しましょう
9月 膵臓がんについて
 10月 インフルエンザ予防接種について
 11月 新型コロナワクチンと心筋症について
 12月 がんの早期発見・早期治療


12月

がんの早期発見・早期治療

 羽田鉄工団地の皆様こんにちは。国内における新型コロナウイルス感染症の新規陽性者、重症者や死亡者が減少傾向にあります。昨年の今頃は徐々に陽性者数が増加しておりましたが、今年はこのまま新しい年を迎えることができることを願っています。
 さて、今月号は「がんの早期発見と早期治療」についてです。11月10日に全国がんセンター協議会から、がんの生存率調査の結果が発表されました。これは国立がん研究センターの研究班を中心にまとめられた調査結果です。国内でがんと診断された方を調査し、約30のがん種について病期(ステージ)、性別、年齢、治療方法の組み合わせで生存率を算出しています。がんの10年生存率は、2002年までの4年間に診断された人は53.9%でしたが、最新の2008年までの4年間に診断された人は58.9%と年々生存率の増加が認められます。生存率の増加の背景のひとつは、がん治療の進歩によるものと言われています。また検診受診による早期発見、そして早期治療に移行する意識が高まってきたことも一因と考えられています。しかし、2020年度から新型コロナウイルス感染拡大にともない、医療機関や検診の受診控えにより、早期に発見されるケースが減少することが懸念されます。
 がんの治療においては、いかに早く発見できるかにより、その後の経過が大きく異なります。例えば大腸がんの場合、ステージ(病期)別の10年生存率は、T期は94.8%、U期は83.0%、V期は76.2%、W期は13.8%です。女性の乳がんではT期は98.3%、U期は88.7%、V期は66.6%、W期は18.5%です。早期発見できることで、治療の選択肢やその後の経過に大きな差が生じます。

 特に胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診は、検査方法や治療方法も確立されているため、厚生労働省の「がん検診実施の指針」に検診の内容や対象年齢が定められています。各市町村ではこの指針を受けて、年齢に応じて様々な検診サービスを提供しています。お住いの市町村のホームページや広報などに詳細が掲載されているので、ご存知ではない方はご確認ください。
がん検診の受診を控えて、気が付かないうちに症状が進行していた、ということがないよう、定期的にがん検診を受診するようにしましょう。それぞれの事業所や加入している健康保険組合なども、がん検診を 実施されているかと思います。重要な機会を逃さず、皆さんご健康にお過ごしください。
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【厚生労働省『がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針』より】
 市町村では独自のサービスを提供している場合があり、こちらの内容と異なる可能性があります。


11月

新型コロナワクチンと心筋症について

 2年近くもの長期間にわたって悩まされてきた新型コロナウイルスの感染者数もやっと減少してきてホッとしています。第5波のピーク時の頃は医療崩壊と言われた混乱があり病院も診療所も一般診療を制限して新型コロナの診療に奮闘していました。在宅での療養を指示された方は大変な不安の中で過ごされたと思います。新型コロナ感染者の急激な減少は専門家の先生方も「よく分からない」とコメントしていますがワクチン接種が進んだことも一因と考えられています。大田区の年代別接種率(10月12日現在)が発表されました。それによると2回接種率は65歳以上88.4%、50〜59歳75.4%、40〜49歳70.7%、30〜39歳65.5%、20〜29歳61.1%、12〜19歳53.3%でした。
 今後もっと上昇していくと思われます。ご専門の先生方からお褒めを戴いた立派な成績です。若い方の接種率が低いのは副作用の問題ではないかと思われます。ワクチンの副作用は若い人に多く11歳以下の方への接種は認められていません。しかしながら10月29日アメリカ(FDA)は5歳〜11歳への新型コロナワクチン接種(ファイザー社製)を承認したと発表しました。
 これにより学校での対面授業が安心して行われることと思います。若年者に多い副作用ですが心筋症、心膜炎という病名が挙げられています。細菌やウイルスの感染によって心臓を構成している筋肉(心筋)に炎症を起こすことが心筋炎、心臓の周囲を包んでいる膜が心膜でここが炎症を起こすと心膜炎です。
 心筋は他の筋肉とは構造が異なり心臓の拍動を司っているポンプの機能を有している重要な筋肉です。心筋炎の症状としては風邪症状が先行して、その後に胸痛、息切れ、不整脈、倦怠感などが出ます。下痢、嘔吐のような消化器症状をともなうものもあります。自然治癒することも少なくありませんが中には「劇症型心筋症」に発展して心不全、ショック症状で重症になるケースもあります。「劇症型心筋症」の救命率は50%といわれています。初期の診断は難しく医者を悩ませる病気です。心電図、胸部レントゲン、心エコー、血液検査(心筋トロポニン検査など)を行い診断します。確定診断には心臓カテーテルによる心筋細胞の採取を行って病理検査で確定します。誰でもそう思っていることと思いますが新型コロナの感染者が減ったと言ってもまだまだ油断は禁物です。年末にかけてはインフルエンザのこともありますので十分気を付けてお過ごしください。


10月

 羽田鉄工団地の皆様こんにちは。7月から8月にかけて新型コロナウイルス感染症の感染拡大がみられましたが、徐々に新規感染者は減少しています。この冬に向けて第6波の可能性も懸念されますので引き続き感染対策をしっかり行いましょう。
 ここ最近、インフルエンザの予防接種をしたほうがいいのか?というご質問をいただくことが多くなってきました。例年と同様に、冬季のインフルエンザ流行に備えてワクチンの接種をお勧めします。

@インフルエンザに対する免疫力、集団免疫の低下 の可能性
 昨シーズン(2020-21年)は、ほとんどインフルエンザが流行しなかったため、日本人の集団免疫が低下している可能性があります。昨シーズンは新型コロナウイルスの感染予防行動がインフルエンザにも効果的だったことや、海外との人的交流が減少したこと、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行を懸念し多くの人が接種したためインフルエンザの流行が抑えられました。インフルエンザが流行しなかったため、各個人の免疫や日本人のインフルエンザに対する集団免疫が低下している可能性があります。

A今シーズン(2021-22年)のインフルエンザ流行予測がつきにくいため
 日本でのインフルエンザ流行予測の参考値になるのが南半球の流行状況です。現在のところ南半球の流行は「極めて低い水準」にて推移しています。一方で、南半球の流行が見られない、また昨年も流行らなかったから今年も流行らないとは言い切れません。

B医療機関受診が困難である状況に備えるため
 今冬に、コロナ第6波も予想されており、医療体制のひっ迫が想定されます。発熱時の医療機関受診が困難になると予想されますので、インフルエンザの予防接種を受けて、万が一インフルエンザが流行したとしても発症の可能性を抑制し、重症化しないために事前の対策をしていただくと良いかと思います。

インフルエンザワクチン接種時の注意事項
●成人は1回接種です。
●他のワクチンと2週間の間隔を空ける必要があるので接種は計画的にスケジュールしましょう。
●今年はワクチン生産量が少なく、昨年比マイナス
 20%です。流通が不足する可能性もあるので接種を希望される方は早めにかかりつけ医や最寄り診療所・クリニックなどにご相談ください。

【参考】厚生労働省 感染症情報・インフルエンザ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html


9月

 鉄工団地の皆さんこんにちは。オリンピックは終了しましたがコロナの増加は続いています。病床もひっ迫して在宅医療の方も増えていますが症状が悪化して電話相談や往診の依頼も増えています。
 しかし、悪化しても入院依頼や救急車の要請は保健所の指示が必要です。往診しても後方支援(入院病床)がなければ在宅死という最悪の事態となります。かかりつけ医として悩ましい日が続きます。コロナによる混乱は一般の医療にも影響が出ています。早期受診と早期治療が必要な疾患に影響が出てきています。
 がんが代表的な疾患だと思いますので膵臓がんについて書かせてもらいます。膵臓は胃の後方にあって長さ10〜20p重さ100〜150gの細長い「たらこ」のような形です。十二指腸に開口している膵管から膵液を出して食物(蛋白質など)を消化します。もう一つの役目がインスリン、グルカゴン、ガストリンを分泌して血糖等をコントロールします。膵臓は他の臓器に比べて分りにくく診断も難しい臓器です。東洋医学における五臓六腑にもその名称は見当たりません。
 五臓は 肝、心、脾、肺、腎で六腑は胃、小腸、大腸、胆のう、膀胱、三焦です。膵臓は三焦に含まれていると言われています。膵臓の病気の方は年間6万人〜7万人いてその7割はアルコールの長期の多飲が原因です。膵臓の病気の主なものは急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんが挙げられます。膵臓がんの死亡数は年々増加しています。2017年は40、981名(国立がん研究センターの統計)が膵臓がんで死亡しています。肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位です。膵臓がんのリスクファクターは喫煙、大量飲酒、肥満、家族
歴があります。
 家族歴として糖尿病、膵のう胞、膵臓がんのある方は要注意です。症状としては体重減少、食欲不振、みぞおちから背中にかけての痛みなどがあります。膵臓がんは早期発見の困難ながんです。
 多くの検査法が開発されています。血液検査、腫瘍マーカー、内視鏡(ERCP)、超音波検査、超音波内視鏡、CT、MRI、PETなどを駆使して診断して治療につなげます。予防は禁煙、大量飲酒の禁止、運動不足、高脂肪食を避けることと早期の診断と早期の治療です。定期的に健診を受けてください。コロナ自粛でも飲みすぎに注意してください。


8月

 7月下旬から東京都を中心に日本各地で新型コロナウイルス感染症の陽性者数が急増しています。おそらくウイルスの型が、これまでのものより伝搬性が高いと言われるデルタ株などに置き換わってきているものと考えられます。ワクチン接種の有無に関わらず、引き続き基本的な感染症対策(手指衛生、マスク着用、適度な距離をとる)を行い予防していきましょう。
 皆さんの周りにある健康脅威はコロナウイルスだけではありません。がんや生活習慣病などももちろん留意しないといけません。残念ながら感染症を懸念して健康診断や定期通院などの受診控えが心配されています。特にがんの早期や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病などは症状がほとんどありません。そのため「今はまだ受診しなくてもいいか」「コロナが落ち着いたら受診しよう」と医療機関の受診を先延ばしにされている方はいませんか?
 定期的に健康診断(事業主は常時雇用する労働者へ1年に1回の定期健康診断を実施することが義務付けられています)やがん検診などを受診しご自身の健康状態に問題がないか必ず確認をしてください。健診を受けることで生活習慣病を予防したり、がんの場合は早期発見により早期治療につながります。早期発見ができるほど、治療の選択肢や可能性も広がります。必要な健診や検診を受診せずに、痛みや体調不良を感じてからではすでに状態が悪化しており入院治療や長期療養が必要になるケースもあります。
 健康診断やがん検診などを実施している医療機関では、関係団体のガイドラインや院内の感染防止ガイドラインなどに基づき、感染対策に十分に取り組んでいるところがほとんどだと思われます。どうぞ安心して受診してご自身の健康増進に努めてください。

 健診機関や医療機関を受診される場合は、マスクを着用し感染対策を行ってください。

・厚生労働省 上手な医療のかかり方.jp
 https://kakarikata.mhlw.go.jp/corona/index.html


7月

 やっと新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。新型コロナ収束の決め手と期待されていますが皆さま方はもうお済みでしょうか。1年以上にわたる長い間新型コロナウイルスの流行に翻弄されて日常の生活スタイルも大きく変わりました。学校や会社もリモートとなって外出や集会も制限され孤立感や閉塞感に襲われています。このような環境の中でゲームに熱中する人が増えてきています。スマホの普及で「いつでも、どこでも出来る」手軽な気分転換になるゲームですが弊害もでています。一緒にプレーする仲間ができると競争が生まれ睡眠や学業の時間を削って没頭するようになりゲーム依存症となります。
 ゲーム依存症は医学的には「ゲーム障害」と呼びますがWHOは2019年にゲーム依存を病気と認定しました。ゲーム依存症とは健康面や人間関係に支障をきたしてもゲームに熱中することです。以前は10代〜20代の子供や若者の間で問題となっていましたが最近は新型コロナウイルスによる自粛生活が影響して30代〜40代にも増加しています。就寝前のゲームへの没頭は不眠の原因となり、その結果朝起きられないため欠席、欠勤、とじこもり、昼夜逆転、さらには集中力の欠如で成績不良による退学、放校になります。会社ではミスの多発による退職に至ります。「ゲーム障害」が起こす問題としては物に当たる、壊す、家族への暴力などが問題となります。

ゲーム依存症の診断基準
@ゲームの開始や終了の時間や頻度をコントロールできない。
A日常生活でゲームを最優先する。
B様々な問題(個人、家族、教育、職業、社会など)が起きてもゲーム優先するなどです。

健康被害について
@視力低下、長時間にわたり画面を見ていることで視力低下となる。
A肺活量減少、座ったまま殆んど動かないため運動量の低下が肺活量の低下となる。
B睡眠障害、ゲームに熱中して脳が興奮して寝付けない。画面から発する刺激的な音や光線も睡眠を妨げる。
Cイライラ感、イライラしやすくなり衝動的になりやすくなる。理由もなく「人を殺してみたかった」と供述する不可解な殺人事件も連想されます。

ゲーム依存症の予防
@人とのコミニュケーションを大切にする。
Aゲームをしない日をつくる。
Bゲーム以外に熱中できるものをつくる。
C体を動かし自然と触れ合う。
Dネット仲間やサークルに入らない。

 治療は精神科の受診が必要です。精神保健福祉センターも相談を受けています。「ゲーム断ち」の入院治療も考えられます。ネット依存が疑われる人は成人で421万人、中高生で93万人と推定されこのうち90%は「ゲーム障害」とみられています。まだコロナウイルスの影響は続くようですが頑張りましょう。



6月

羽田鉄工団地の皆さんこんにちは。ここ最近コロナ関連の話題が続きましたが、暑さと共に熱中症になりすい気候になっております。2020年度は熱中症による救急搬送人員の累計は 64,869 人(2020年6月〜10月)でした。昨年はコロナのニュースが多かったので、熱中症に関するニュースが少なかったように思いますが暑さが厳しくなるとともに熱中症で重症化し救急搬送される方も増えています。

1、熱中症とは
 熱中症は身体から汗が出過ぎて、体温を調整するしくみが空回りしたり、身体の水分(主に血液)が不足したりして、身体が脱水症状や高体温になっている状況です。症状が軽いうちは、めまい、立ちくらみ、足の筋肉がつる、大量に汗が出ます。頭痛、嘔気、嘔吐などがあると中等症、意識がない、痙攣している、立てないような状況は重症です。
熱中症は、体温が高くなりすぎて臓器不全など命にかかわる非常に危険な状態におちいることがあります。気候変動により年々気温の上昇がみられ、作業環境によっては「熱中症にならない」ことを予防するのは難しい場面もあると思いますが、軽症のうち対処していくことが重要です。

2、水分摂取のコツ
熱中症の予防で最も大切なことは、適切に水分を摂取することです。水分を摂取するタイミングは、喉の渇きを感じてからでは遅いです。予防的に摂取することが大切なので、作業開始前からこまめに水分を摂取するようにしてください。特に大量に汗をかいた時は、摂取した塩分の吸収力を上げるために、ブドウ糖を同時に摂取することをお勧めします。
・通常時・汗ばむ程度:水やスポーツドリンク(コーヒーや緑茶など、利尿作用があるものは控える)
・大量に汗をかいている時:スポーツドリンク、塩飴と水・熱中症のような症状がある: OS-1などの経口補水液

3、日々の体調確認で熱中症予防
 作業開始前の体調確認は熱中症の予防に大切です。前日の飲酒や下痢・嘔吐などで脱水傾向にある人、朝食を欠食し水分量が不足している人も熱中症になりやすいです。仕事の前や休憩中に体調を確認し、高血圧や糖尿病などの持病がある方は熱中症対策を主治医の先生と相談しておくことをお勧めします。

4、マスクの着用と熱中症対策
 マスクを着用すると、顔面の皮膚から熱が逃げにくくなり気づかないうちに脱水になることがあります。感染症対策にマスクは欠かせないですが、屋外で2メートル程度の十分な距離がとれる場合は熱中症予防のためマスクをはずしましょう。
 周囲に他の作業者がいてマスクを外せない時は、人と距離をとりながらこまめに水分補給や涼しい場所で休憩をとるようにしてください。




5月

羽田鉄工団地の皆様こんにちは。薫風薫る5月ですがコロナの勢いは一向に終息せず、むしろ増加の傾向にあります。
変異型も増えていて大阪ではPCR検査で判明した陽性者の82.8%、兵庫は74.5%、東京28.4%、神奈川33.8%と報じられています。
今後東京では約半分が変異型になるだろうと予測されています。終息の決め手になるワクチンの接種が医療関係者、高齢者を優先して始まりました。新型コロナワクチンについて調べてみました。
日本で行われる可能性のあるワクチンはファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の製品ですが現在行われているのはファイザー社のもので対象は16歳以上です。
15歳以下については安全性の試験を実施中のため将来的には承認される予定です。ワクチンはmRNAと記載されていてコミナティと言う名前です。
mはメッセンジャーを意味します。ワクチンにウイルスは含まれません。毎年注射しているインフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスのトゲの部分を粉々にして精製した不活化ワクチンですが新型コロナワクチンはウイルスの表面のトゲの部分を作る指示が与えられているワクチンでウイルスそのものは含有していません。
コロナウイルスの表面にあるトゲを構成しているスパイク蛋白を作るように指示されていてスパイク蛋白によってコロナウイルスへの免疫が獲得されます。ワクチンの効果ですがランダム比較試験という臨床試験で発症予防効果は95%と報告されています。即ちこのワクチンを接種した人は接種しない人に比べて発症率が95%少なかったという意味です。
これまでの種々のワクチンに比べても発症予防効果は高いと評価されています。筋肉注射ですのでインフルエンザ予防接種よりも深い部分に打ちます。
効果は2週間程度で出てくるようです。先行しているイスラエルの発表では13〜24日で発症リスクが51.4%減少したそうです。
十分な効果を上げるためには3週間後に2回目の接種が必要です。さらに1年後には再接種する必要がありそうです。(ファイザー社の発表)ワクチンを接種しても感染したという報道もありますが重症化を防ぐ効果があり無駄ではありません。
副反応ですが接種部位の痛みが最も多く1回目68%2回目78%と言われています。
だるさは1回目29%2回目50%で2回目のほうが副反応は多いようです。まだ接種人数が少なく、医療関係者のデータですので今後の症例の蓄積が必要です。
重いアレルギー反応であるアナフラキシー反応の報告もありますが全例が回復しています。接種後の死亡例も1例報告されていますがワクチン接種との因果関係は不明とされています。コロナに罹ってしまった人、無症状だった人にもワクチンは推奨されています。
変異型ですがイギリス型には有効、南アフリカ型、ブラジル型には有効性が低いといわれています。コロナワクチン接種は努力義務ですので強制ではありません。
接種の有無による差別(出社禁止等)は注意して下さい。情報が錯綜しています。今後訂正される報道もあると思います。偽ニュースも出回っています。
落ち着いて接種日を待ちましょう。





 2020年4月に第1回目の緊急事態宣言が発令され約1年が経ちます。この1年は新型コロナウイルス感染症に悩みながら過ごされた方も多いと思います。行動や移動の制限は思ってもみなかった形で、皆さんの心やからだの健康に表れているかもしれません。
 メディア等で「コロナうつ」という言葉を耳にすることがあります。専門家によると、コロナに関連するメンタルヘルス不調の原因は大きく分けて3つあるそうです。一つは自分や家族が感染してしまうのではないかという不安、二つ目は会社の業績悪化などによる経済的不安、3つ目は自粛生活やテレビ報道が続くことから引き起こされる不安です。不安な状態が続くと、次第に気分の落ち込み、無気力、徐々にうつ状態へと進むことがあります。不安、気分の落ち込み、不眠、余暇活動を楽しめない、休日も何もしたくないなどの症状が続く場合は、一度心療内科や精神科を受診されることをお勧めします。
 また、日本国内においても2月中旬より新型コロナウイルスに対してのワクチン接種がスタートしました。
 希望者全員の接種ができるまでには、少し時間がかかると思われます。3月以降は、感染者の減少があまりみられず、21日の緊 急事態宣言以降の一日の新たな感染者数は増加傾向です。しばらくは、警戒が必要な状況ですので、新型コロナウイルス感染症対策分科会が提言している「感染リスクが高まる『5つの場面』」を参考に気を付けてお過ごしください。

感染リスクが高まる『5つの場面』
@飲酒を伴う懇親会等
A大人数や長時間におよぶ飲食
Bマスクなしでの会話
C狭い空間での共同生活
D居場所の切り替わり(休憩室、喫煙所、更衣室など)



3月


 羽田鉄工団地の皆さんこんにちは。この原稿を書いている2月下旬は新型コロナウイルスに対する非常事態宣言が続いています。非常事態宣言「慣れ」になってきましたが、やっと医療関係者や介護関係の方々を優先してワクチン接種が始まりました。
 これによって長い間悩まされてきた感染の恐怖から解放されると期待しています。新規の感染者の数も減少の傾向が見えてきて少しホッとしています。しかし一方では重傷者は減少せず、入院病床のひっ迫は続いていて、救急車の搬入の制限などもあり、新型コロナウイルス流行以前の状態には復旧していません。
 風邪や花粉症の症状は新型コロナウイルスによる感染と紛らわしく、抗原検査やPCR検査を希望する方が増えてくると思います。そんな中で起きた事件を紹介して注意を促したいと思います。
 事件の概要は駅近くのビジネスホテルで、前日から宿泊していた男性からフロントに電話があって「新型コロナのPCR検査が陽性と連絡があったので救急車を呼びましたので・・・」という内容でした。間もなく救急車が到着して電話で宿泊客と話し合い保健所へ連絡するように指示して搬送はせずに帰ってしまいました。
 フロントの係員が保健所へ連絡を入れましたがラチがあかず時間ばかりが経過していくため警察にも連絡しました。警察も保健所の事案である旨の説明でした。部屋で待機を指示された宿泊客はホテル側の引き留めも聞かずに帰宅してしまいました。宿泊客は関西地方の方でしたが当然公共交通機関を利用して帰宅したものと思われます。
 前置きが長くなりましたが新型コロナウイルスの感染検査を受けた方への注意が行政の方から出ています。
 検査を受けた方は結果が出るまでは外出を避けて自宅で待機すること、公共交通機関は使わないこと、自宅では感染予防のために家の中でもマスクをすること、こまめに手洗いをしてエタノールなどで手指を消毒すること、タオルや食器は共用しないこと、可能であれば部屋を分けることなどが指示されています。
 詳しくは東京都のホームページに出ています。この注意を守ってくれたら今回のような事件は起こらなかったと思います。また、検査が「陰性」であった場合の注意も出ていますので参考にして下さい。検査キットが薬局などで販売されていて自主的に検査する方も増えています。結果がでるまでの注意は守っていただきたいと思います。
※ 詳しい情報は、東京都のホームページをご確認下さい。(新型コロナウイルスによる感染症 の最新情報について)



2月


羽田鉄工団地の皆様こんにちは。1月号に北條先生からコロナとストレスについてのお話がありました。
今月はストレスによる心身の不調を早期に発見し悪化を予防するため、ストレスに起因する心やからだの変化についてお伝えします。
ストレスの原因(ストレッサー)は心理的要因以外にも、物理的要因(気温の変化、暑熱、寒冷)、社会的要因(感染症の流行、社会情勢不安定)、身体的要因(病気、痛みなど)などがあります。人間は多くのストレッサーに遭遇し、おそらくストレスを感じていない人はいないと思います。ですが、大抵はストレス耐性があったり、うまく解消したりすることで心身の不調にはつながりません。時にはストレス要因によって良い緊張感が保たれることもあります。ストレス=悪という訳ではありません。
 ただ、ストレッサーが大きすぎたり、要因が重複したりすると心身に不調を生じることがあります。ストレスによる身体、こころ、行動面のそれぞれの反応として起こりやすいものを列挙します。

1、身体の症状
・疲れやすい、体がだるい、気力がわかない
・肩がこる、首がこる、手足がだるい、関節痛、偏頭痛がする
・目が疲れやすい、めまいがする、多汗になる、音に対して過敏になる
・寝つきが悪い、眠りが浅い、早く目覚める、起きた時に寝た気がしない
・心臓がドキドキする、胸が痛くなる、脈がとぶ
・食欲不振、胃がもたれる、吐き気・嘔吐、よく下痢をする、便秘になりやすい

2、こころの症状
・不安、緊張、神経過敏、焦燥感がある
・抑うつ、気分の落ち込み
・易怒性、すぐに怒りやすくなる

3、行動面
・食事量の変化、食欲がなくなる
・飲酒量やタバコの本数が増える
・何をするのも億劫になる、出勤できない、趣味を楽しめない

気になる症状が1週間以上続くようでしたら、早めに専門家(精神科、心療内科)へご相談ください。

 ストレス対処法は十人十色ですが、ご自身がリラックス方法をいくつか用意しておくことが大切です。誰かと話をしたり、趣味を楽しんだり、ご自身が心地よいと思うことは何ですか?コロナ禍の今、思うように趣味を楽しめない方もいらっしゃると思います。私は旅行が好きですが、いまはなかなか遠出の旅行は難しいです。その代わりに最近は自宅の近くを散策し、新しいお気に入りスポットを探すことを楽しんでいます。身近なところでも新たな発見があり、なかなか面白いです。
 感染症の流行はもうしばらく続きそうですが、皆さんも上手にストレスと付き合ってお元気にお過ごしください。



1月



羽田鉄工団地の皆さん明けましておめでとうございます。
中国の湖北省武漢で原因不明の肺炎が集団発生していることをWHOへ報告したのは一昨年の12月31日でした。
日本最初の新型コロナウイルスによる肺炎患者は武漢に滞在歴のある中国籍の神奈川県在住の男性で昨年1月15日に発表されました。その後は1月末から武漢からのチャーター便による帰国者やクルーズ船の乗客、乗務員の感染の報告が相次ぎました。
専門家たちの予測に反して既に1年間も猛威をふるい続けていることになります。
長引くコロナ禍で全国民が疲弊し特にストレスのためにメンタル不調に陥る方が増えています。
自殺者の増加も問題になっていて昨年の4〜6月は前年に比べて13%減少していましたが7月から増加傾向に転じました。
警察庁の統計によりますと7〜9月には男性は前年並みに推移していますが女性は7月16%増、8月40%増、9月28%増となっていて極めて憂慮される状況です。10代(19歳以下)の自殺も増えています。
自粛にともなう「ステイホーム」の影響が危惧されています。
新型コロナウイルスによる死者よりも自殺者のほうが多くなることを懸念する声もあります。
新型コロナウイルスの流行で自宅待機、在宅勤務、休校、外出や外食の自粛で生活様式の変化が生まれて、慣れない生活スタイルに「こころの健康」を崩してしまって異常な行動に走る可能性があります。


生活のペースが混乱している中でも日常生活を規則的に過ごしていく自己管理術が必要です。
参考になりそうな資料がありましたので引用させてもらいました。

@毎日の日課の設定をする。
自宅待機や在宅勤務であっても毎日行う日程を設定
する。
A毎日同じ時間に起きる。
出勤する必要が無いからとぐずぐずと寝ていない、食
事、整容など決まった行動をする。
B毎日、一定時間を屋外で過ごす。密閉、密接、密集の
3密を避けて外へ出て日光を浴びる行動をする。
C毎日行う活動時間を決める。
在宅での仕事や休校による学習は時間を決めて行う。
D毎日運動をする。
時間を決めて自分に合った適当な運動をする。
E毎日同じ時間に食事をする。
起床と就寝の時間も決めておく。
F人と交流を持つ。
電話やメールで話し合える人をもって音声電話に限らず文章による会話も利用してコミュニケーションを持つ機会を確保する。
G夜、寝る前にパソコンやスマートフォンのディスプレ
イから出るブルーライトを浴びない。
ゲームに熱中したりするとブルーライトによる睡眠障害を起こします。
以上のことを参考にして、日常生活の中のストレスを減らして新型コロナウイルスとの戦いに頑張りましょう。