かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) 羽田鉄工団地協同組合





労働衛生コンサルタント北條先生

岡部保健師
最新号(2024年4月)
1月 正月太りは本当か?一年の計は元旦にあり!皆さんの今年の健康目標は何ですか?
2月 万が一への備えBCP
 3月 ご存知ですか?ブルーリボン
4月 麻疹にご注意ください
5月
6月
7月
8月
 9月
 10月
 11月
12月

4月

麻疹にご注意ください

 羽田鉄工団地の皆様こんにちは。桜の咲くころとなり、新年度で新しい生活が始まるという方も多いのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、まもなく1年となります。この冬は新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染者により、医療機関も診療が大変だったようです。最近は、コロナ禍に比べると海外渡航も容易になり、旅行や仕事などで海外に行かれる方もいらっしゃるかと思います。このところ、麻疹ウイルスによる感染症の「はしか(麻疹)」の患者報告が全国で相次いで確認されています。麻疹は、きわめて感染力が強く、合併症として肺炎や脳炎が引き起こされ重症化や死亡することもありますので、感染経路の特徴や症状、予防方法など改めてご確認ください。

麻疹の感染状況
 国立感染症研究所の調査によると、過去(平成19年、20年頃)は10〜20代を中心に流行がみられましたが、ワクチン接種の対応により患者数は激減しました。日本は2015年に麻疹排除状態である世界保健機関(WHO)の認定を受けました。その後は国内起因ではなく、旅行者を発端とした集団発生や医療機関、麻疹含有ワクチンの接種率が低い集団などで発生報告があります。
麻疹流行地域へ渡航する場合は、ワクチンの接種や抗体価の確認をし、感染を予防しましょう。

麻疹の感染経路
 麻疹は「麻疹ウイルス」の感染によって伝播します。麻疹ウイルスの感染経路は「空気感染」、「飛沫感染(くしゃみや咳などの飛沫)」、「接触感染」です。ヒトからヒトへ感染が広がり、その感染力は極めて強いことが明らかになっています。感染力の強さを示す「基本再生産数(患者一人から何人に感染を広げるか)」は、12〜18と言われています。
新型コロナウイルス感染症は2〜3でしたので、格段に感染力が強いことが分かります。

麻疹の症状
 麻疹に感染すると約10日後に発熱、咳、鼻水のような風邪症状があらわれ、その後39度以上の高熱、発心が出現します。合併症として肺炎や中耳炎を発症しやすく、1000人に1人程度の割合で脳炎を発症すると言われています。

予防方法 ワクチン接種
 基本的な予防方法としてマスクの着用や手洗い、手指消毒を行うことが重要となります。ですが、麻疹は感染力が非常に強く、空気感染もするため、最も有効な予防法は予防接種(ワクチン接種)です。麻疹ワクチンの場合は麻疹患者との接触後72時間以内であれば、ワクチンを接種することで予防することもできます。

 風邪かな?と思って過ごしていたところ、高熱や発疹が出現し「麻疹かも?」と思ったときは、かかりつけ医や医療機関に電話等で症状を伝えて、受診方法を確認するようにしてください。繰り返しになりますが、麻疹は非常に感染力が強く医療機関への移動や受診の際に感染が拡大をする可能性があります。ワクチン接種で予防が期待できる為、気になる方はかかりつけ医などに相談することをお勧めいたします。


3月

ご存知ですか?ブルーリボン

 早春の候、羽田鉄工団地の皆さまはお変わりございませんでしょうか。つい先日2024年を迎えたと思っていましたが、あっという間に3月になり年度末でお忙しくされている方も多いのかと思います。新聞やテレビ、報道などで〇〇リボンキャンペーンという言葉を耳にされたことはあるでしょうか? 乳がんの啓発活動ではピンクリボン、レッドリボンはエイズ、最近では性的多様性のシンボルとしてレインボーリボンもあるそうです。リボン運動は「アウェアネス・リボン」と総称され、多くの方への情報発信や啓発活動に用いられています。では、「ブルーリボン」は何を意味しているのでしょう。
 正解は「大腸がん」です。毎年3月はブルーリボンキャンペーンが展開されます。東京都庁第一庁舎や首都高速レインボーブリッジなどがブルーにライトアップされるそうですので、機会がありましたらお立ち寄りください。
 大腸がんは、食生活の欧米化により日本人の死亡者数が年々増加しています。特に、女性では死亡数のトップを占めるようになりました。しかし、大腸がんは早期発見をして、早期に治療をすればほぼ治癒を目指すことが可能といわれています。3月のブルーリボンキャンペーンに合わせて、大腸がんの予防と早期発見について確認していきましょう。

がん検診の中で一番辛くない?!
 大腸がん検診の最も簡便な方法は「便潜血検査」です。便潜血検査は2日間にわたり便を採取し、血液成分が便に混ざっていないかを調べる検査です。便の採取方法も簡単で、身体への負担がない検査方法です。他のがん検診は血液検査での採血、バリウム検査、マンモグラフィーなど、痛みや辛さを伴う検診がありますが、便潜血検査は全く痛みがありません。がん検診で一番辛くない検査ですね。

便潜血検査が一次検診
 便潜血検査の結果で「陰性」つまり便に血液成分は混ざっていなかった場合は、大腸の中で炎症や出血がなく、問題ない状態ということになります。1年に1回を目安に定期的にがん検診を続けましょう。
 検査の結果で「要精密検査」となった場合、便に潜血反応があり、大腸のどこかで出血している可能性があります。精密検査では、多くの場合に大腸の中をカメラで観察をする大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施することが一般的です。もしも、大腸内視鏡検査を行って大腸がんが発見された場合は、がんを取り除く手術や抗がん剤治療などを受けることになります。ただし、精密検査になった場合も多くの方は良性のポリープや痔核による肛門付近の出血という可能性が高いです。何よりも避けなければならないことは、精密検査を見逃したり、結果を無視して放置したりして、大腸がんの発見が遅くなることです。

大腸がんの治療
 がんには進行の度合いを示すステージがあります。大腸がんの場合も、進行度合いによって0期〜W期に分かれています。標準的な治療では、進行の度合いによって内視鏡による治療、外科手術(開腹や腹腔鏡下による)、抗がん剤等による化学療法、放射線治療などがあります。また状況に応じて、これらの治療を組み合わせて行っていきます。がんの発見が早ければ早いほど、身体への侵襲性(ダメージ)が少ない方法で治療をすることができるため、繰り返しになりますが早期に発見することがやはり重要なのです。

日常の生活で大腸がんを予防するには?
 がん全般の予防として、禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、日常的に体を動かす身体活動、適正な体重・体形の維持、感染予防が大切です。さらに大腸がんの場合は、定期的に運動をすること、加えて、食物繊維やカルシウムを摂取することも効果的な可能性があると言われています。
 大腸がんは家族の病歴とも関わりがあるとされていますので、もしご家族や近親者に大腸がんの方がおりましたら、積極的に大腸がん検診を受診されることをお勧めいたします。

 今月はブルーリボンキャンペーンです。どこかでブルーリボンを見かけたり、ライトアップされている建物などを目にしたりすることがございましたら、ご家族や親しい方に「ブルーリボン」の意味をお伝えください。


2月

万が一への備えBCP

 羽田鉄工団地の皆さま、今年は暖冬の予報にも関わらず寒い日が続いていますがお変わりないでしょうか。2024年は年始から能登地方での地震があり、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。今回のように地震や津波、火災はいつ起こるか予想ができません。いざというときに備えて…ということは分かってはいても、なかなか備えておくことは難しいかもしれませんが今一度、会社で準備しておきたい災害備蓄について確認をしていきましょう。

 内閣府は「企業の防災対策・事業継続強化に向けて」ガイドラインを作成し、大規模な自然災害等が発生した際に企業が備えるべき事項について掲載をしています。防災対策として、@事業所の耐震化、A人命の安全確保、B安否確認システム、C指揮命令系統・組織体制、D教育や訓練の実施、E食料・医薬品・トイレなどの備蓄、F出火・落下・飛散・浸水などの二次災害防止、Gオフィス家具・危機の転倒防止、以上の8項目を挙げています。

 災害等により帰宅や移動が困難になることを想定し、最低限必要な備蓄品を一例として掲載します。
・水:飲料水として利用。断水時はトイレや生活用水になる。10年近く長期保存可能な保存水もある。準備目安として1人1日3リットル、3日分として9リットル/人用意。
・食料品:エネルギー不足になり体力が低下すると感染症や低体温症など体調不良のリスクが高まります。長期保存可能なアルファ米、缶詰、フリーズドライ食品、野菜ジュースなどを備蓄。準備目安として3食/人×3日分
・衛生用品:非常用トイレ、トイレットペーパー、ビニール袋、生理用品、マスク、救急用品などを準備。
・電子機器:ラジオ、懐中電灯、非常用発電機、乾電池、充電器など。
・その他:毛布、カーペット、アルミシートなど体を保温するもの。
上記については保存期間が指定されている物品もあります。定期的に保存期間を確認し、期限が切れる前に入れ替えるようにしてください。期限が近い食料品を社内で試食会や配布をして味見や調理方法などを確認すると、災害時にいざ食べるときに備えになると思います。これらの物品を保管し、管理する手間はありますが、いざという時の備えとして重要です。保管場所を社内でも周知し、災害時に活用できるよう準備をしておきます。

 また、不足の事態が発生しても「重要な業務を中断させない」「中断しても可能な限り短期間で復旧させる」ことが企業の経営戦略としてBCP(事業継続計画)の策定が重要視されています。BCP策定においては、事業継続に対する基本方針を明確化すること、事業中段による影響や想定事象それに伴うリスクを想定することから始まります。方針とリスクを想定した後に、重要業務の選定(優先的に復旧すべき製品やサービス)、目標普及時間の設定(いつ頃までに復旧すべきか、どの程度まで許容できるか)、必要リソースの確保(重要業務継続に必要最低限のリソース、どのように確保するか)、以上の3点を明確にしておくことがポイントです。BCP策定後は策定内容で事業継続が本当にできるのか、追加事項はないかなどを検討しますが、机上のシミュレーションでは想定外の事象が発生した場合を想像がし難いため、シナリオを作成しロールプレイを繰り返しながらBCPを策定していきます。

 災害時の対応については、すでに準備されているかと思いますがこの機会に改めてご確認ください。内閣府の企業防災のページに企業の取組み事例集などもございます。こちらも併せて確認いただくことをお勧めいたします。
 内閣府 企業防災のページ https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/



1月

正月太りは本当か?一年の計は元旦にあり!皆さんの今年の健康目標は何ですか?

 羽田鉄工団地の皆さま、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。年末年始はゆっくり休暇をとられた方も仕事だったという方もいらっしゃるかもしれません。皆さまはどのようにお過ごしでしょうか。
 よく「お正月に食べ過ぎて太った」「冬は太りやすい」と面談でお話になる方がいらっしゃいます。秋冬は食べ物も美味しくなる季節ですし、年末年始は飲食の機会も多くなり、自然と食べ過ぎてしまうのかもしれません。2010年に発表された日本国内の調査結果1)では、糖尿病治療中の2,511名を対象に、HbA1c(過去1-2か月の血糖値のコントロール状態を示す指標)の月ごとの平均を調べたところ、1年の内でHbA1cが高くなるのは2月3月の寒い時期でした。反対に夏の暑い時期7月から9月はHbA1cが低下していました。冬と夏を比べると、0.2%から0.3%程度の上下がみられました。血糖値は日常生活の中では、食べ過ぎや飲みすぎ、運動不足などで上昇します。寒い冬は外に出て運動をすることが億劫になりがちです。食べ物からの摂取カロリーが多くなり、運動での消費カロリーが少なくなるため太りやすい傾向にあると言えます。
 冬場は太りやすいというのは確かなようですが、一方で減量にとっては、冬はとてもお勧めできる季節です。人間の体は平熱の36度前後を保つために、熱を作り出そうとします。外気が下がる時期である冬場は自然と基礎代謝(生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギー)があがり、減量を目的に運動をするには最適の季節です。

(1)基礎代謝が低下する要因
・不規則な生活による自律神経の乱れ
・加齢による筋肉量の減少:図のように基礎代謝は、男性は15-17歳、女性は12-14歳をピークに年齢を重ねる毎に低下していきます。加齢によって筋力量も減少するため体力に無理のない範囲で筋力トレーニングや有酸素運動を継続することが大切です。
・過度な食事制限による減量:エネルギーを確保するために筋肉が分解され、筋肉量が減少します。筋肉量が減少することで基礎代謝も低下するため痩せにくく、太りやすい体になります。

(2)基礎代謝を高める生活習慣
・ウォーキングなどによる有酸素運動:ウォーキングは速歩きで、大きく腕ふり
・筋肉量アップの筋トレ:大きな筋肉を鍛えるスクワット
・入浴で身体を温める
・腸内環境を整える:発酵食品や食物繊維を日々の生活に取り入れる
・白湯や常温の水をまめにとり血行促進

 寒い冬は体を動かすことが辛い時期ですが、ウォーキングや筋トレで身体を動かすと次第に体も温まってきます。基礎代謝が高まる今こそ、しっかり身体を動かして、今年はお正月太りにならないように気をつけてください。

引用文献
1) Sakura H et al. Seasonal fluctuations of glycated hemoglobin levels in Japanese diabetic patients. Diabetes Res Clin Pract. 2010 Apr;88(1):65-70.




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