かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) | 羽田鉄工団地協同組合 |
最新号(2025年5月) | |
5月 | 百日咳の報告が増えています |
百日咳の報告が増えています
羽田鉄工団地の皆様、こんにちは。今年のゴールデンウィークは飛び石連休でしたが、平日を休むと最大で11日間の連休だったようです。新年度が始まり何かと疲れがたまりやすい5月ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
ニュースなどで見聞きした方もいらっしゃるかと思いますが、今年に入り、百日咳の患者報告者数が徐々に増加しています。百日咳は抗菌薬による治療、ワクチン接種による予防が有効ですが、乳児では重症化する可能性もあります。百日咳の特徴や感染経路、罹患したときの対応などを押さえておきましょう。
発生状況
東京都感染症情報センターの報告によると、2025年になり患者報告数が急増しています。また年齢階級別では、10代の発生が最も多く、次いで5〜9歳となっています。流行の背景として様々な要因が推察されていたが、10代の患者数が多いことから、乳幼児期に獲得したワクチン接種による免疫が、接種後年数が経過し減衰していることが考えられます。一方で世界的な流行も報告されているため、今後の動向を確認することが重要です。
症状の経過
(1)カタル期(約2週間持続):1週間程度の潜伏期を経て、かぜ症状ではじまり次第に咳の回数が増える、もしくは激しくなります。
(2)痙咳期(けいがい期, 約2〜3週間持続):次第に発作性けいれん性の咳になり、短い咳が連続的に起こり、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出るのが特徴です。
発熱はなく(あっても微熱)、発作がない時は無症状ですが、何らかの刺激が加わると発作が誘発され、夜間の発作が多いです。乳児期は特徴的な咳がみられず、無呼吸発作からチアノーゼになることがあります。合併症に肺炎、脳症、特に乳児は重症化に注意が必要。
(3)回復期(2、3週〜):激しい発作は次第に減衰し、2〜3週間で認められなくなります。全経過は約2〜3カ月で回復します。
成人の百日咳は咳が長期にわたって持続し、軽症で診断が見のがされやすいです。
そのため、ワクチン未接種の新生児・乳児に対する感染源として注意が必要です。
治療
百日咳菌に対する治療として、生後6カ月以上の患者には抗菌薬を使用します。特にカタル期では有効であるため、早期受診し、内服を開始することがポイントです。咳に対しては鎮咳去痰剤、場合により気管支拡張剤などが使われます。
予防
百日咳の予防にはワクチン接種が有効であり世界各国が予防接種拡大計画のワクチンの一つとして、三種混合(DPT)ワクチンの普及を強力に進めています。DPTワクチンはジフテリア、百日咳、破傷風の3つの病気を予防するワクチンであり、主に乳幼児期に3回または4回の初回接種とその後に追加接種を行います。(本邦では2024年4月より、DPTにポリオを加えた4種混合、さらにHib感染症を加えた5種混合ワクチンが定期接種に導入されました。)
感染拡大の対策
百日咳の感染経路は、飛沫感染(鼻咽頭や軌道からの分泌物)や接触感染(感染者との接触)とされています。そのため感染を予防するためには、ワクチン接種による免疫の獲得、手洗い、うがい、咳エチケットの徹底が有用です。
学校保健安全法では、特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで出席停止とされています(第2種の感染症)。会社内で百日咳を発症した方が発生した場合は、受診先の医師に出社のタイミングを相談し、感染拡大防止に努めてください。
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