かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) 羽田鉄工団地協同組合





労働衛生コンサルタント北條先生

岡部保健師
最新号(平成29年8月)
8月 労働時間と健康について

平成29年8月

労働時間と健康について

羽田鉄工団地の皆さんこんにちは。毎日のように暑い日が続いていますが、お元気にお過ごしのことと思います。近ごろ「働きかた改革」という言葉を耳にされたことはありますか?一部の企業では「働きかた改革」として週休3日制の導入(週4日間、10時間/日の就業)、在宅勤務や副業を認めるなどの試みをしています。労働や労働時間のあり方の変化が進んでいくことが考えられます。労働時間と健康については密な関連があり、厚生労働省は平成18年に過重労働による健康障害防止のための総合対策(平成20年に改訂)を策定し、過労死や脳心血管疾患をはじめとした過重労働とその健康影響の問題への対策を考案しました。最近の「働きかた改革」に伴い、過重労働と健康影響の問題は再び注目されるようになりました。

○過重労働と健康影響について
過重労働を原因に引き起こされる健康問題には、大きく2つに分かれます。身体的な問題として心・脳血管疾患の発症リスクが高まること、もうひとつは精神的な面でメンタルヘルス不調、精神障害の発生があります。メンタルヘルス不調は長時間労働による量的負担に加えて、職場の人間関係や仕事の質、適性度も関連要因と考えられると示唆されています。

○過重労働と心・脳血管疾患について
国内の労働衛生機関の調査報告によると、過去5年間(平成22年1月から平成27年3月)に労災認定された心・脳血管疾患の件数は1,564件、そのうち脳疾患(脳梗塞や脳内出血など)は 61.9%、心疾患(心筋梗塞や心停止、狭心症など)は37.9%でした。

心・脳血管疾患を発症する前の時間外労働の状況は、発症1ヶ月前の平均は99.6時間、6ヶ月平均は86.3時間でした。(驚くべき事に発症1ヶ月前の時間外労働の最大値は360時間でした。この事例の場合は30日稼動したと想定し、時間外労働が12時間つまり1日20時間労働になります。)

○過重労働による心・脳血管疾患の予防
1ヶ月の時間外労働が100時間または2〜6ヶ月の平均時間外労働が80時間以上になると、心・脳血管疾患の発症リスクが高くなると言われています(図)。労働時間の長時間化に加えて、高血圧・脂質異常症・糖尿病があり動脈硬化により心・脳血管疾患の発症リスクは上昇します。先の調査によると、過重労働と心・脳血管疾患の労災認定事例のなかには、頭痛や胸部痛などの前駆症状があった人18.9%、無かった人72.7%と突然発症することが大半です。一方で約2割の人は症状があっても病院を受診する時間も無く過ごしていたことも考えられます。また労働安全衛生法で定められた定期健康診断の実施率は69.1%と約3割の事例では実施していなかったと報告されています。
過重労働と心・脳血管疾患の発症の関連性は明らかですが、予防するためには労働時間を見直すことに加えて、定期健康診断の受診、有所見がある場合は二次検診を受診する、治療を放置しない、体調に心配なことがある時は受診するなどの基本的な日頃からの健康管理も重要です。

引用:過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究(労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センター, 2016年)


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