かけはし誌上コラム(かけはし掲載分) | 羽田鉄工団地協同組合 |
最新号(2025年6月) | |
6月 | 職場の熱中症対策が義務化へ |
職場の熱中症対策が義務化へ
羽田鉄工団地の皆様、こんにちは。気象庁の発表によると2025年6月〜8月は全国的に暖かい空気に覆われやすく、今年も猛暑が予想されます。例年の猛暑の影響もあり、熱中症による救急搬送者数が年々増加しており、2024年5月〜9月の全国における累計は97,578人(前年91,467人)でした。消防庁によると2008年の調査開始以降、最も多い搬送者数であったそうです。搬送者数の約6割は65歳以上の高齢者であり、次いで約3割が18歳〜65歳未満の成人の方でした。搬送者の多くは軽症の段階ですが、なかには重症(3週間以上の長期入院を要する)もしくは死亡するケースも発生しています。救急搬送が増える時期としてグラフ(別添資料1、消防庁2024年10月29日報道資料)にあるように6月中旬(梅雨入りの時期、湿度が高くなり体感温度も上がる)、7月(梅雨明けで急激に気温上昇)は、体が暑さに慣れていない(暑熱順化)ため、より一層に注意し、準備を整えておく必要があります。
すでに報道やニュースで見聞きしていると思いますが、厚生労働省は熱中症の重篤化を防止するため、労働安全衛生規則を一部改正(2025年6月1日施行)しました。本改正により、職場における熱中症対策として「体制整備」、「手順作成」、「関係者への周知」が事業者に義務付けられます。
(1)熱中症の自覚症状がある人や疑いのある人が出た場合の緊急連絡先や担当者を決めるなどの体制整備を事業所ごとに定める(決めた内容は職場内で周知)
(2)作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など重症化防止のための手順を事業所ごとに定める
(3)職場での対策の内容を作業者に周知する(朝礼やミーティング、掲示板、社内イントラを活用)
熱中症予防の取り組み(職場における熱中症予防基本対策要綱)
(1)WBGT値(暑さ指数)の活用
WBGT計は湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを用いて暑さ指数を示す指標です。摂氏度(℃)で表示されますが温度ではありません。WBGT計がない作業場所で作業をするときは、熱中症予防情報サイトなどでWBGT値を確認してください。
日常生活では、WBGTが31℃以上は「危険」レベルで、運動は原則中止(日本スポーツ協会)です。身体負荷が高い作業では熱中症のリスクが非常に高いため作業を中断するもしくは、冷房やスポットクーラーなどを用いて作業場所のWBGT値を低減する、身体負荷の低い作業に変更する、作業場所を変更するなどの方法が考えられます。
(2)熱中症予防対策
@作業環境管理:WBGT値の低減、休憩場所の整備
A作業管理:作業時間の短縮や変更、休憩時間の確保、汗をかく前に水分・塩分をとる、通気性の良い服装、計画的に暑熱順化する
B健康管理:健康診断の受診と事後対応、日頃の健康管理(特に、睡眠不足や朝食欠食、二日酔い、嘔吐・下痢などの体調不良)、日々の健康チェック(日勤であれば、朝・昼・夕の3回確認し体調不良を早期発見)
C教育:熱中症対策、予防方法、症状、発生時の救急処置、報告・連絡・相談のルートを周知徹底
D熱中症予防情報サイト(環境省)
https://www.wbgt.env.go.jp/(WBGT値、アラート)
E熱中症予防ポータルサイト(厚生労働省)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/(熱中症ガイド、動画、事例紹介など社内教育にも使える資料が多数)
猛暑を超えて酷暑(最高気温40度以上)のなかでは、熱中症発生ゼロを目指すのは大変難しいです。中等症、重症なる前に、早期発見・早期対処することが大切です。今回の改正に関して、すでに職場で実施している内容ばかりだと思いますが、体制整備・手順を明確にし・情報を周知し熱中症かなと思った時も慌てずに対処できるよう日頃の対策をしていきましょう。
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